閑話 《イリアの悪だくみ》
「ふっ、ふふっ、ふふふっ……は〜はっはっはっ!!」
「な、何ですか急に!?」
「何か変な物でも食べた?」
「おっと、これは失礼しました」
飛行船の医療室にて唐突に笑い出したイリアにヒイロとミイナは不気味がり、彼女達は倒れたナイの見舞いのために医療室に訪れていた。ベッドには未だに意識不明のナイが横たわっており、その傍にはリーナとモモの姿もあった。
「う〜ん……ナイ君、そこは駄目だよう」
「ナイ君、女の子みたいに柔らかい……」
「う、ううんっ……」
何故かナイのベッドにリーナとモモも潜り込み、彼を端っこに押しやって二人は抱き合うように眠っていた。そんな二人の事は放置してイリアはナイが回収してきてくれた「マグマゴーレムの核」を手にして満面の笑みを浮かべる。
討伐隊が出発する際にイリアはナイに倒したマグマゴーレムの核をいくつか回収するように頼み、彼は約束通りに核を持ってきてくれた。それらを手にしたイリアはこれらを使えば色々な物を作り出せると確信した。
「ナイさんのお陰でマグマゴーレムの核は手に入りました。あとはこれを素材にしてこれまでに私が作ってきた兵器の強化を行います!!」
「へ、兵器?」
「物騒な話してる……本当に薬師?」
「舐めないでください、私は歌って踊れる薬師です!!」
「それ、兵器と何も関係ありませんが!?」
イリアの言葉にヒイロはツッコミを入れるが、彼女を無視してイリアは手に入れたマグマゴーレムの核を利用して早速ではあるが設計図を描く。彼女が羊皮紙に書き込んだのは「樽」であり、その設計図を見てヒイロとミイナは首を傾げる。
「何ですかこれは……樽?」
「これ、前に見た事がある気がする」
「御二人も知っているはずですよ。今回は時間もあまりありませんし、新兵器の開発は先延ばしにします」
「時間があれば新兵器も開発するつもりですか!?」
「ほらほら、御二人にも手伝って貰いますよ。どうせ雨のせいで明日まで暇なんでしょう?」
「むうっ……休むように言われてるのに」
ヒイロとミイナは留守番役だったので討伐隊の面子と比べれば体力は残っているが、それでも次の遠征の時には参加する予定だった。そのために出発までは休もうとしたのだが、イリアに強制的に仕事を手伝わせられた。
「王都に帰ったら好きな物を買ってあげますから手伝ってください」
「……仕方ない、それなら商業区の一番人気のお店のケーキが食べたい」
「あ、それなら私も……い、いやいや!!駄目ですよ、私達は明日は討伐隊に参加する予定ですから!!」
「そんな硬い事を言わずに手伝ってくださいって、クッキーも付けてあげますから」
「お菓子の話をしてたか!?」
「うわぁっ!?ルナさん、何処から現れたんですか!?」
会話の途中でルナがベッドの下から現れ、彼女の登場にヒイロは驚くがルナは涎を垂らしてイリアに詰め寄る。
「手伝いをすれば好きなだけお菓子を食べられるのか!?」
「そんな事は一言も言ってませんが……まあ、いいでしょう。魔導士の給料なら店ごと貸し切ってあげますよ」
「おお、イリアが初めて頼もしく見える」
「よ〜し、それならいっぱい手伝うぞ!!」
「えっ、私もですか!?」
ルナも手伝いに参加する事が決まると、イリアは3人の力を借りて魔道具の開発を行う――
※イリアがまた良からぬ事を考えた様です。
(´・ω・).。o(これだから元ラスボス候補は……)←衝撃の事実
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