閑話 《その後のグツグ火山では……》
――グツグ火山に暮らす鍛冶師達は荷物を纏め、村を放棄して近くの街に避難する事を決めた。グツグ火山に大量発生したマグマゴーレムのせいで彼等の村も何時襲われるか分からず、彼等は街に向けて歩を進める。
「これから儂等はどうしたらいいんじゃ……」
「さあな……こんな事になるならあの時、王子様の言う事を聞いて避難しておけばよかったな」
「今更言っても遅いわ……」
バッシュ王子の忠告を受け入れていれば鍛冶師達は労せずに飛行船に乗って安全な場所まで避難はできたはずだった。しかし、火山でずっと暮らし続けてきた鍛冶師達は火山を離れた生活に不安を抱いて結局は忠告を受け入れずに残ってしまった事が間違いだった。
飛行船が出立してからしばらくすると遂に村の方までマグマゴーレムが現れるようになり、村に甚大な被害を及ぼした。運よく雨が降ったお陰でマグマゴーレムは退散したが、村は甚大な被害を受けた。
次にマグマゴーレムが襲い掛かってきても鍛冶師達ではどうしようもできず、彼等は優れた武器や防具を作る事ができたとしても、それを使いこなす戦闘技術は持ち合わせていない。
「腕の良い冒険者を雇って奴等を追い払えんのか?」
「王子に言われた事を忘れたのか?あの山には黄金級冒険者でも手に負えない化物が潜んでおるんじゃぞ。それに冒険者を雇うにしてもどれだけ金が掛かるか……」
「こんな事なら素直に王子の言葉を聞いておけばよかったな……」
「後悔先に立たず……正に今の儂等に相応しい言葉じゃな」
鍛冶師達は山を下りながら飛行船に乗らなかった自分達の判断が間違っていた事を思い知らされ、深々と溜息を吐きながら近くの街に向けて出発する――
――同時刻、グツグ火山の火口ではマグマゴーレムの大群が溶岩の中に身体を沈めていた。まるで人間が風呂に入るかのように過ごすマグマゴーレムだったが、その中でも一番大きな個体が顔を上げる。
『ゴアッ……!?』
上空を見上げた途端、マグマゴーレムは異変を感じ取ったように溶岩から身体を抜け出すと、他のマグマゴーレムも何かを感じ取ったように上空を見上げた。そして天空から何かが落ちてくるのを確認した。
彼等が視界に捉えたのは「隕石」であり、グツグ火山の火口に目掛けて突っ込んできた。隕石が火山の火口に目掛けて落ちた瞬間、マグマゴーレムの大群は強烈な衝撃を受けて粉々に吹き飛んだ――
――後にこの隕石の落下によってグツグ火山を中心に未曾有の大災害が起きようとしている事は誰も気づいていない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます