閑話 《ドルトン商会の復活の理由》

――ゴブリンキングの襲撃の際、ドルトンは財産を失ってしまった。屋敷内に残っていた金目の物は全て売り払い、彼はその時に手に入れたお金を使って他の街で食料品を買い込んで無償で街の人々に分け与える。


ドルトンは老い先短い自分の事よりも将来がある若者のためにお金を使いたいという考えでやったが、そのせいで彼は一文無しになってしまった。彼に残されたのは屋敷だけで流石に生活が厳しくなったころ、彼はイーシャンと共にある場所へ訪れた。



「おおっ……し、信じられん。ここがアルの残した鉱洞か」

「す、凄いぞこれは……まさかこんな場所でミスリルの鉱脈があるなんて!!」



ゴブリンキングが討伐されてからしばらく日が経つと、ドルトンとイーシャンはナイに教えて貰った「鉱洞」へと赴いていた。この場所は元々はアルが発見した場所で貴重なミスリル鉱石が発掘できる洞窟だったが、ナイは二人と別れる前にこの鉱洞の場所を教える。


この場所はナイがまた訪れる機会は無いと思われるため、彼は二人の生活のために鉱洞の場所を教えた。そして二人は鉱洞に辿り着くとミスリル鉱石の発掘を行う。



「はははっ!!こいつは凄いな、ミスリル鉱石が採り放題だぞ!!」

「まさかアルがこんな場所を知っていたとは……全く意外と人が悪いな」

「仕方ないだろ、あいつも鍛冶師なんだからこんな宝の山を人に教えたくはないだろ」



金にはあまり執着しないアルだったが、鍛冶師として貴重な素材となるミスリル鉱石が発掘できる場所は友人である二人にも教えていなかった。しかし、アルが亡くなった今となっては鉱洞を知る人間はナイしかいなかった。


もう誰も使う事がないのであればという理由でナイは鉱洞の場所をドルトンとイーシャンに教え、二人は有難くミスリル鉱石を回収して帰路に着く。ここから先はミスリル鉱石を売却して二人は資金を作り、それぞれの目的のために動く――






――ミスリル鉱石を手にした後はドルトンは他の街で鉱石を売却して資金を作り上げ、それを元手にドルトン商会を復活させる。そしてイーシャンの方は「仙薬」の素材を買い上げ、後にこの二人はナイに会いに行くために旅に出る。


イーシャンの作り出した仙薬は王都で起きた白面との最終決戦でも大いに役立ち、結果的にはアルの鉱洞をこの二人に教えていた事でナイは命を救われた事になる。




※この話は本編に組み込みたかったのですが、色々とあって書き忘れていました(;´・ω・)

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