後日談 《闇ギルドの残党》 ※順番を前後しました
――白面を始めに王都内に存在した闇ギルドは先日の事件により、ほぼ壊滅状態に追い込まれていた。裏社会の代表格であったシャドウの死亡、更には長年の間を闇ギルドを支え続けてきたオロカもいなくなった事により、この二人が消えた時点で闇ギルドに所属していた者達は散り散りに逃げ去る。
だが、今回の事件の発端は元々は宰相が自分の邪魔者を排除するために引き起こした事もあり、彼は最初から白面を除く闇ギルドも始末するつもりだった。だからこそ城壁の警備を硬め、今まで繋がりを持っていた闇ギルドも白面やシャドウに始末させていた。
結局は生き残った闇ギルドの残党は王国兵に捕まるか、あるいは目立たないように大人しくひっそりと生きていくしかなかった。散々悪事を働いてきた彼等の末路であり、仕方がない事だった。
「おい、見つけたぞ!!捕まえろ!!」
「や、やべぇっ!!逃げるぞ!!」
「くそっ……どうして俺達がこんな目に!!」
飲食店の残飯をこっそりと貪り喰らっていた男2名が存在し、それを発見した警備兵達は急いで後を追う。この二人は元々はオロカに所属していた悪党だったが、オロカが爆発によって死亡した後、後ろ盾を失った彼等は必死に警備兵に逃げ続けていた。
他の仲間は既に捕まったか、あるいは諦めて自首していた。残された二人は毎日のように飲食店に忍び込み、残飯を食い漁る生活を送る。
この二人はオロカの側近でどちらも高額の賞金首であるため、捕まった時点で処刑は確定していた。高額賞金首の犯罪者は一生を監獄で過ごす事になる。この男達は既に一か月以上も逃げ回り、もう金は使い果たして惨めな生活を送っていた。
「はあ、はあっ……も、もう駄目だ」
「ば、馬鹿野郎!!諦めるな、捕まったら終わりだぞ……」
「もう逃がさんぞ、悪党共め!!」
逃げ回った男達だったが、遂に警備兵に追いつかれて路地裏の奥にある建物に囲まれた空き地へと辿り着く。奇しくもこの場所はかつてナイがミイナとヒイロと出会った場所であり、二人は数名の警備兵に追い込まれた。
悪党達はもう駄目かと思った時、ここで警備兵の背後から人影が現れる。その人物の手には鞭が握りしめられており、容赦なく警備兵に向けて鞭を放つ。
「喰らえっ!!」
「うぎゃあああっ!?」
「な、何だっ……ぐああっ!?」
「うわっ!?な、何だよこれ……蛇、なのか!?」
突如として現れた人物は鞭を振りかざすと、瞬く間に兵士達を打ち倒す。この時に鞭を回避しようとする兵士もいたが、鞭はまるで「蛇」のように動き出し、逃げ出そうとした兵士の首に鞭の先端が捉える
「がああっ!?」
「ふんっ……こいつら程度では碌な餌にもならんか」
「うわっ……な、何だこいつ!?」
「待てよ、あの鞭捌き……まさか!?」
助けられた形となった二人の悪党は鞭捌きを見ただけで相手の正体を見抜くが、信じられない表情を浮かべる。その一方で助けた人物はゆっくりと二人に振り返り、身に付けていたマントから素顔を晒す――
10時か11時にもう1話投稿します。
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