後日談 《監獄》
――火竜討伐後、ロランは自ら大将軍の座を退き、そして今までの罪を償うために監獄に入った。彼自身はこの国に忠誠を尽くし、数々の功績を残してきた。だからこそ国王はロランを許そうとしたが、彼自身が許しはしなかった。
ロランは自分の一族が裏で国を支配している事を知り、その事を黙っていた。それはこの国を本来収める立場である王族に対しての裏切りであり、彼は潔く職を退いて罪人として監獄に収監される。
王国としては大将軍を失うのは痛手だったが、ロランの意志が固い事を知った国王は引き留める事もできず、彼を監獄に収監させた。国王としては信頼していた宰相や大将軍が裏で国を操る存在だと知り、衝撃を受けて彼は寝込んでしまう。
今まで信じていた者達に裏切られた事を知った国王の衝撃は大きく、しばらくの間は国政は3人の子供が取り仕切る事になった。そして忘れてはならないのが事件が起きた際、他の冒険者や王国騎士に危害を加えたもう一人の男も捕まる。
「……まさかこのような形でお互いに顔を合わせるとはな」
「はっはっはっ!!また会えてうれしいぞ、ロラン大将軍よ!!」
ロランは同じ牢獄の中で鎖で全身を縛り付けられたゴウカと向き合い、事件の後にゴウカもシャドウと結託して他の冒険者や王国騎士に危害を加えたために捕まっていた。
既に彼の黄金級冒険者の資格は剥奪され、それでも冒険者ギルドのギガンの嘆願で彼の死刑だけは避けられた。それでも数年の間はこの監獄で過ごす事は決まり、ロランの方も同じ扱いだった。
ゴウカは冒険者や王国騎士に手を出したのは事実だが、決して彼は一般人には手を出さず、決して弱き人間には危害を加えなかった。彼の目的はあくまでも自分が全力を出せる相手との戦闘であるため、その夢を叶えた今はすっきりとした表情を浮かべる。
「これからは仲よくしようではないか!!どうせしばらくは出られないだろうからな、それにこの状態だと飯も碌に食えん!!」
「いったい何を仕出かした……?」
「いや、飯が足りなくて文句を言おうと鉄格子を壊してしまってな!!それで脱獄しようと勘違いされてしまった!!そのせいで俺は食事と風呂とトイレ以外はこの格好で過ごす様に言われてしまった!!」
「……まさか、これから食事や風呂や下の世話まで俺にさせるつもりか?」
「はっはっはっ!!すまんな、看守共は俺に怯えて近付けないからな!!」
「……今すぐに抗議しよう」
ロランはゴウカの言葉を聞いて頭を悩ませ、これからこんな人物と監獄生活を送る事になるのかと嘆く。だが、自分の犯した罪を償うため、彼はしばらくの間はやかましい同居人と過ごす事を覚悟した――
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