後日談 《悪夢は終わらない》
「――あぁああああっ!!」
「ヨウ司教!?どうされたのですか!?」
イチノの陽光教会にてヨウは絶叫しながら目を覚まし、偶然にも彼女の部屋を通りがかっていたインが慌てて部屋の中に入ると、そこには顔面蒼白のヨウがベッドの上で横たわっていた。
少し前から彼女は体調を崩して寝込んでいたのだが、インの必死の看護のお陰で最近は大分身体も良くなってきた。しかし、目を覚ましたヨウは顔色を青ざめ、その様子を見たインは彼女の元に近寄って様子を伺う。
「だ、大丈夫ですか?」
「ゆ、夢を……また、あの夢を……」
「夢……まさか、ナイの身にまた何かが!?」
ヨウは数か月ほど前からナイが漆黒の剣士に殺されそうになる夢を見ていたが、ここ最近はその夢を見る事はなくなっていた。彼女の能力の「予知夢」は未来を見通す力があるが、彼女が見た夢が現実の物になると二度と夢を見なくなる。
ナイの夢を見なくなったという事は彼の身に夢と同じ出来事が起きた事を意味しており、ナイが生きている事を毎晩祈り続けたヨウは体調を崩して倒れてしまった。しかし、ここ最近は大分落ち着いてきたのだが、彼女は顔色を変えて頭を抱えた。
「そんな、まさか……」
「ヨウ司教、落ち着いて下さい!!いったいどんな夢を見たというのですか!?」
「……そ、そうですね」
インの言葉を聞いてヨウは落ち着きを取り戻すが、顔色は青ざめたまま彼女はインの肩を借りて窓の側へ近づく。彼女が夢見た内容は今度はナイに関わる未来ではなく、この街ではない何処か別の場所で起きる夢だった。
――ヨウが見た夢の内容は巨人族の何倍もの大きさを誇る巨大な剣が罅割れ、崩れ落ちていく光景だった。そして剣が崩れ去った瞬間、地中から見るもおぞましい巨大な生物が出現し、山を破壊しながらその人型の生物は地上へ向けて咆哮を放つ。
巨人族の10倍以上の体躯を誇る巨大な人型の生物が地上へと出現し、この時に巨人の上空に巨大な飛行船が出現する。その飛行船の上には二つの大剣を持つ人影の姿が見えたが、その姿をはっきりと捉えきれなかった。
夢の内容を思い返したヨウは頭を抑え、この夢が実現される日が何時来るかまでは彼女にも分からない。しかし、ただ一つだけ言える事は火竜をも上回る脅威が王国に誕生しようとしていた。
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