後日談 《モモとのデート》

――復興が始まってから一か月近くの時が経過した頃、ナイは商業区の方にてモモと二人きりで赴く。まだ完全に復興は終わってはいないが、それでも大分建物の修理は進んでおり、二人は前々から約束していた通りに遊びに向かう。


色々とあってナイもモモも碌に休む暇がなく働いていたが、今日1日は二人とも自由な時間を取れた。なので久々に遊びに来たのだが、ナイは待ち合わせ場所にて緊張してながら待っていた。



(何だろう……ドキドキするな)



モモと一緒に遊ぶ事自体は別に初めてではないが、先日にナイは彼女に告白された事を思い出し、そのせいで今まで以上にモモの事を女の子として意識してしまう。


ナイはモモの事を今まで女友達のように思っていたが、まさか彼女が自分の事を異性として見ているなど思いもせず、自分が好かれていると知ったナイは落ち着かない。



(モモが僕の事が好き、か……なら僕はモモの事をどう思ってるんだろう?)



今一度、モモが来るまでの間にナイはモモに対しての気持ちを考え、今までは彼女の事は友達のように思ってきた。しかし、告白されてからはナイのモモに対する気持ちは少しずつ変わり始めていた。


ナイが暮らしていた村は同世代の女の子は一人もおらず、まともに女の子と話した事があるのは王都でモモやヒナと知り合った時ぐらいである。だからナイは昔から好きな女の子などできたことがない。


女性に対して可愛いや綺麗などという感想を抱いた事はあるが、それが異性として意識したなく、恋愛感情に関しては一般の男性よりも疎い。だが、モモに告白された時にナイは彼女の事を少しずつ意識し始める。



「ナイく〜ん!!お待たせっ!!」

「あ、モモ……」



モモの声が聞こえたのでナイは顔を上げると、彼女が走ってくる様子が見えた。普段とは違って今回の彼女は可愛らしいワンピースを身に付けており、その姿を見てナイは素直に可愛いと思った。



「ごめんね、支度に少し時間が掛かって……待たせちゃったかな?」

「いや……俺も今着たところだから」

「そ、そうなんだ……な、なら行こうか?手を繋いでも良い?」

「い、いいけど……」



何気ない会話だが、普段と違って二人は初々しい表情を浮かべ、お互いの手を繋ぐ。この時にモモはヒナの助言を思い出し、手を組んだ状態でナイの方に身体を近づける。


手を握りしめた状態でモモはナイの身体に擦り寄り、その彼女の行動にナイは驚くが、決して拒んだりはしない。今までのナイならば特に意識はしなかっただろうが、モモの事を異性として意識し始めたナイはモモの行為にドキドキとしていた。



「じゃあ、行こうか……」

「う、うん……」



二人は商業区の中を歩き回り、少しずつではあるが関係を発展させていた――

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