後日談 《白狼騎士団の団長》

「そうだ、ナイ君……君さえ良かったら白狼騎士団の団長にならないかい?」

「えっ!?」

「まあ、その場合は君も王国騎士になるというわけだけど……今の君だったら誰も反対する事はないと思うんだ」



唐突なアルトの提案にナイは驚くが、実際の所は今のナイならば王国騎士に選ばれてもおかしくはない。むしろ、快く受け入れられるのは間違いない。


そもそもナイは黒狼騎士団と銀狼騎士団の仮団員として所属し、この二つの騎士団からも勧誘されていた。特にドリスとリンはナイの事を気に入っており、顔を合わせる度に勧誘をしてくる。しかし、アルトはそんな彼だからこそ白狼騎士団を任せられると思っていた。



「まあ、他の騎士団と比べれば僕の白狼騎士団は色々と緩いからね。団員も二人しかいないし、それに君が騎士団長になるならヒイロとミイナも喜ぶと思ってね」

「いや、でも……騎士団長なんて急に言われても」

「まあ、別に今すぐに返事はしなてくいいよ。しばらくの間は忙しくなりそうだからね……そうだ、そういえばナイ君は冒険者稼業にも興味があったね。今でも冒険者になりたいと思っているのかい?」

「う〜ん……冒険者になりたいというより、そういう仕事が向いているのかなと思ってさ」

「ウォンッ?」



アルトの言葉を聞いてナイは冒険者になるかどうか悩んでいた時期もあった。冒険者の主な仕事は魔物の討伐や調査などの仕事だが、ナイは子供の頃から魔物を倒しており、その素材を回収していた。だからこそ自分は冒険者に向いているのではないかと考えていた。


しかし、王国では未成年者は冒険者になれないという法律があり、そのせいでナイは魔物を倒す力はありながら冒険者になる事はできなかった。だが、もうすぐ誕生日を迎えるナイは冒険者になる事も不可能ではない。


ナイが王都へ来た元々の目的は自分が本当にしたい仕事を探すためという目的もあり、何だかんだあってその目的は果たせずにいたが、王国騎士にしろ冒険者にしろ今のナイならば務まるだろう。



「冒険者か……」

「君が冒険者になればリーナは喜ぶだろうね。勿論、他の騎士団の騎士になりたいというのであれば僕は止めないよ。じっくりと考えて決めるといいさ」

「うん、そうするよ」

「ウォンッ!!」



アルトの言葉にナイは頷き、今すぐに決めなくてもいいという彼の言葉にほっとするが、いずれはナイも選択する時が来る。自分がどんな職業に就くべきか、彼は真剣に考える事にした――

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