幕間 《ゴブリンキラーの覚醒》
――ナイが闘技場に赴いた後、彼によって心臓を貫かれて倒されたはずのゴブリンキラーは目を見開く。吸血鬼が倒された事によってゴブリンキラーは意識を完全に取り戻す。
心臓は完全に破壊されたはずだが、ゴブリンキラーは口元から血反吐を吐き散らしながらも這いつくばり、近くに存在したオークの死骸に喰らいつく。
「ギアアッ……!!」
ゴブリンキラーは死骸に喰らいつくと無理やりに肉を引きちぎり、咀嚼する。しかし、すぐに嘔吐してしまい、もうこの程度の餌では力を身に付ける事は出来なかった。
「ガハァッ……!?」
口元から死骸の肉を吐き出し、このままでは本当に死んでしまうと判断したゴブリンキラーはより良い餌を求める。元々は強い生命力を誇り、出来れば死んだばかりの生物が都合が良く、周囲を探す。
その結果、ゴブリンキラーは今の自分にとって最適の餌を発見する。それは先ほどまで力を合わせて戦っていたリザードマンの死骸であり、リザードマンの死骸の元にゴブリンキラーは這いつくばり、その死骸に喰らいつく。
「アガァッ……!!」
リザードマンの死骸に喰らいついたゴブリンキラーは夢中に貪り喰らい、徐々にゴブリンキラーの身体に変化が始まった。全身に生えていた赤毛熊のような体毛が徐々に抜け落ち、その代わりに体毛の下から鱗のような物が浮き上がる。
死骸の血肉を喰らう度にゴブリンキラーの肉体はよりリザードマンに近い姿へと変貌し、牙と爪もより鋭利に伸び始め、最終的には尻尾まで生え始める。
「シャギャアアアアッ!!」
リザードマンの死骸を喰らいながらゴブリンキラーは更なる進化を果たし、彼を討ち取ったと思ったナイは致命的な失敗を犯していた。
――魔物にとって最も重要な器官は心臓ではなく、その体内に宿す「経験石」である。経験石さえ無事ならば高い生命力を誇る魔物は死なず、そしてゴブリンキラーの場合は他の生物を喰らう事で肉体を作り替える力を持っていた。
他の生物の肉体を喰らう事でその能力を奪うゴブリンキラーは傷を同時に再生させ、更なる強さを得る。その力はゴブリンの最上位種である「ゴブリンキング」とも異なり、ゴブリンキラーは更なる進化を果たそうとしていた――
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