閑話 《その頃のアルト達は》

――ゴエモンの家にてナイ達が彼と和解した頃、アルトはヒイロとミイナを連れて警備兵と話し合い、街で何か異変が起きていないのかを尋ねる。



「それでは特に何も変わりはないという事かい?」

「ええ、この街は王都ほどではありませんが優秀な冒険者もいっぱいいますし、賞金首のような犯罪者も見かけられません。ただ……」

「ただ……なんですか?」

「いや、その……気のせいかもしれないんですけど、今日はどうも街が騒がしいような気がするんですよね」

「騒がしい?」

「すいません、別に何か事件があったというわけじゃないんですけど……何となくですが、雰囲気がいつもと違うというかなんというか……」



街を守る警備塀の話によると普段と違って街がいつもよりも騒がしいと感じるらしく、報告を行った兵士も自分の違和感の正体が分からず、すぐに謝罪を行う。



「すいません、今のは忘れてください。本当に気のせいだと思うので……」

「ふむ……分かった。なら、僕達は失礼するよ。何かあったらこの街一番の宿屋に来てくれ、そこで僕達は泊る予定だからね」

「は、はい!!分かりました!!」



アルトは兵士の報告を聞いてから二人を連れて今晩泊る宿屋へと向かう。事前に話を通しているので宿屋に辿り着ければ部屋を貸してくれるが、アルトは少し街中を歩く事にした。



「二人ともさっきの兵士の言葉をどう思う?」

「どう思うと言われても……はっきりとしない言い回しでしたね」

「でも、嘘を吐いている様子はなかった」

「彼が感じた違和感は虫の知らせ、という奴かもしれないね。もうすぐこの街で何かが起きようとしているのかもしれない」

「何か、とは?」

「そこまでは僕にも分からないよ。但し……きっと、凄い事が起きようとしているんだよ」



二人はアルトの言葉に顔を合わせ、こういう時の彼の勘は一度も外れた事はない。そしてアルトの推測通り、この街で間もなくとんでもない大事件が起きる事になる――

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