特別編 〈ゴブリンナイト〉※読者様の要望で書きました
「――すまんな、唐突に呼び出してしまって……」
「まあ、別にいいけどね。何だい、あたし達に何か用があるのかい?」
ある日、アッシュ公爵は聖女騎士団の面々を呼び出す。その中にはナイや白狼騎士団のヒイロとミイナも含まれ、彼は困った表情を浮かべて告げる。
「実は最近、闘技場の方で新たな魔物が送り込まれてな。しかし、その魔物を誰も倒す事が出来ないのだ」
「魔物?そいつはどんな奴だい?」
「ゴブリンだ」
「ゴブリンって……あのゴブリンですか?」
アッシュの言葉に全員が戸惑い、ゴブリンは本来ならば魔物の中では弱者として分類される魔物である。但し、先日にゴブリンキングのような怪物と対峙したばかりのため、闘技場が管理しているゴブリンも普通の種ではないのかとテンは尋ねる。
「そいつは亜種かい?それとも上位種?」
「分からん、今までに確認されていない個体だ」
「という事は新種かい!?」
「いや、文献によると100年ほど前にも存在を確認されているらしい。但し、詳しい情報は残っていない。だが、名前だけは判明している……ゴブリンナイトだ」
「ゴブリンナイト……?」
「それって前にナイが倒した奴かい?」
「いや、あの魔物はあくまでも騎士のような装備で戦うという理由からそう呼ばれていただけだ。今回のゴブリンナイトは亜種の一種として認識されている」
ゴブリンナイトとは100年前に確認されたゴブリンであるとアッシュは告げ、その体格はホブゴブリンよりも一回りは大きく、更に彼等は他のゴブリンと違う点は武器と防具を好んで扱う。
知恵が発達したゴブリンや上位種のホブゴブリンは武器や防具を装備する事はよくある事だが、ゴブリンナイトの場合は単純に武器を身に着けるだけではなく、性能を重視して身に着ける。仮に相手が武器の使い手の場合、その人間の技術を盗む事もあるらしい。
「現在の闘技場ではゴブリンナイトを誰も倒せず、挑戦者の中には再起不能に追い込まれた人間もいる。かといって処分しようにも観衆から注目を浴び過ぎてな……このまま危険過ぎるという理由で始末したら民衆から顰蹙を買うだろう」
「要するにあんたとの頃の客はそのゴブリンナイトを倒す奴が現れるまで試合を見たいという事なんだろう?」
「まあ、その通りだ……だが、これ以上に無暗に奴を戦わせるわけにはいかない。ゴブリンナイトは戦えば戦う程に強くなっていく」
「そいつは面白そうだね……なら、そのゴブリンナイトをぶっ倒せば知名度も上がるのかい」
話を聞き終えたテンは両拳を重ね合わせ、ゴブリンナイトなる存在に興味を抱く。しかし、ここで隣に座っていたルナが質問する。
「でもテン、聖女騎士団の再結成のためにこれから色々書類仕事をやる事になると言ってなかったか?」
「そういえば確かに今日中に終わらせないといけないとか言っていたような……」
「あっ……しまった!?今、何時だい!?」
「もう昼を回った所だが……」
「やばい、書類を書き終えないとまた宰相に嫌味を呼ばれる!!ほら、あんた達も手伝いな!!」
「ええっ!?ゴブリンナイトはどうするんだ!?」
「仕方ないだろう、あたし一人で終わる量の書類じゃないんだよ……という事でナイ!!それにヒイロとミイナ、あんた達で何とかしな!!」
『ええっ!?』
いきなりゴブリンナイトの討伐を任された3人は驚きの声を上げ、この3人が闘技場でゴブリンナイトと戦う事が決まった――
※もう1話あります。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます