第172話 中層と下層について認識が違った

 あのダンジョンは100層までありました。

 ですから僕は70層までが中層、それ以降が下層と思い込んでいました。

 しかし世間では25層から50層が中層、それ以降が下層と言われているようで、そのせいでダンジョンから溢れてくる魔物の事を勘違いしていたようです。


「まあそういう事もあるよね。」

「あれだけ弱いと勘違いする。」


 セシルは分かってくれているようです。

 ですが、何故かヴィーベさんが僕の頭をはたいてきます。


「そんな訳あるか!街の外にいた魔物、この街に居た冒険者では歯が立たなかったんだぞ!それを弱いってどれだけダンジョンでレベル上げしたんだよ。」


 僕はそう言えばヴィーベさんにカードを見せていなかったと思い、見せます。

「・・・・9?」


「ええ、そこに9と記載してますね。」


「・・・・」

「・・・・?」

「・・・・まじかよ!!!!」


 言い訳をさせて下さい。

 仕方なかったんです。あのまま、つまりレベルの低いままダンジョンから脱出しても、ベテラン冒険者の餌食になるのが目に見えていました。


 それにレベルを上げておかないと、ダンジョンで生き残れない、そう感じていたので最低限ダンジョンを脱出できる(100層を攻略)ようにならないと厳しいかな、と。


「なあ、因みにダンジョンってどこまで行ったんだ?」

「えっと、多分75層前後まで落ちてしまって、そこから暫く78層だったかな?魚のエリアがあって、そこでずいぶんレベリングしたんですよ。」


 そこまで言ったところでヴィーベさんが僕の話を遮ってきました。

「おいおい75層?あのダンジョンだが今までの攻略記録って知っているか?」


「はい、確か70層のどこかだったかと。」

「70層だよ70層!尤ももう少しは行けたんだろうけれど、それ以降で魔物が居るエリアの攻略はできてないんだよ!それが何だ今のは!さらっといきなり75層だ?そして78層でレベリング?」


 あ、リニさんはまたセシルと話し込んでいる。

「こんなのがあるんだけど。」


 見るとどうやら果物を出している様子。

「きゃあ!ダンジョン下層の果物?ねえ食べてもいい?」

「買取りしてもらうのに品質を確かめるのは必要。私も食べる。」


 色々な食べ物、相当収穫していたもんなあ。ここで2人が食べても全く影響が何だよなあ。


「うわ・・・・凄くいい香り。」

「味も凄い。食べて。」


 女の子同士は何でこんなに仲がいいんだろう。セシルとロースも仲良かったしなあ。

 念の為に言っておくけれど、僕とレイナウトの中も悪くなかったよ?


「わあ・・・・なんて芳醇・・・・幸せ・・・・」

「デルクの先輩だから、個人的にいくつか置いていく。」

「きゃあ!凄いわセシルちゃん!私のお嫁さんになって!」

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