第171話 知らぬは自分達だけ

 ここで僕達は盛大な勘違いをしていたのですが、冒険者ギルドに寄らなかったので気付きませんでした。


 商人ギルドで溜まったドロップアイテムを引き取ってもらおうと思ってヴィーベさんに渡したのですが、その驚き様に僕の方が驚きました。


「おいデルク!いったい何を仕留めてきたんだよ!」

 セシルと話し込んでいたリニさんも、ヴィーベの驚き様にこちらにやってきます。

「うるさい馬鹿ヴィーベ!建物中に響き渡るでしょ?」


「オイミロリニ・・・・コシツニウツルゾ?」

 何だかヴィーベさんの様子が変です。


「何片言になっているのよ!」

 そう言いつつリニさんがドロップアイテムを見ると・・・・


「ぎゃあ!なんていう物出してんのよ!急いで個室に行くわよ!ほらセシルちゃんも!」


「私がデルクと・・・・デルクと・・・・」

 まだ様子の変なセシルも強引に連れていかれてしまいます。

 僕は出したドロップアイテムを収納しなおし、個室へ向かうヴィーベさんの後を追います。


 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・


「さてデルク、昨日は色々インゴットで儲け・・・・ゲフンゲフン、引き取らせてもらったが、何だよこれ!」


 最初に手にしたアイテムを渡したんだけど、まずかった?

「お前商人になっとけよ!そしてさっき出したやつを鑑定してみろ!」


 僕はさっき取り出した珠を・・・・最初に取り出したのは珠だったのですが、もう一度取り出してみます。


【オークジェネラルの睾丸:妊娠薬の原料。生成に成功すれば約50%の確率で子を授かる事が出来る。】


 ・・・・え?何これ?

 オークなんて仕留めたっけ?

 しかも気になるのがその後のジェネラルという名前。

 将軍?


「ダンジョン産のアイテムだが、間違いなく下層の魔物じゃねえか!」

 あれ?中層の魔物までしか外へ出てないんじゃ?


 この後色々ドロップアイテムを出してみましたが、落とし主の名前が色々あります。

 サキュバス

 ゴブリン

 サイクロプス

 トロール


 等々・・・・


 ゴブリンとサイクロプスの後ろには、


 ソルジャー

 コマンダー

 と表示がしてあり、

 中にはさっきのオーク同様ジェネラルと表示があったりしています。


「あのなあ、一応言っておくがジェネラルと付く個体はレベル8相当だ。場合によっちゃあレベル9相当だ。しかも魔物の種類によって違いがあるから、同じジェネラルでもゴブリンとサイクロプスじゃあまた違うんだよ!ジェネラルなんか下層の魔物だ下層の!」


「またデルクがやらかしたのね?」

 これは困った・・・・そしてやらかしたってどういう事?


「セシル、どうやら中層の魔物と思っていたのが、一部下層の魔物が居たらしいんだ。」

「そうか、弱かったから気付かなかった。」


 そうだよね。

「デルクもセシルも!何言ってんだ!一部じゃなく大半だ!」

 単にドロップアイテムを引き取ってもらおうと思っていたのですが、この後2人にこってり絞られました・・・・何で?




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る