第135話 予期せぬ再会
「勿論ここは商人ギルドですから、買取も販売も致していますよ?しかしこう言っては何ですが、貴方は冒険者では?ギルド・・・・冒険者ギルドで依頼を受けて、その依頼の品を収めた方が良いのではと思いますけれど、敢えてこちらで買い取りですか?もちろんそうして頂く方が商人ギルドとしてはありがたいのですけれど?」
何故か疑問形で話をして下さるお姉さん。
「僕はこの街へ数年ぶりに戻ってきたので、まあ情報を、つまり3年近い間の変化を知りたいので、そう言った事には商人ギルドが一番と思いまして。それに素材は必ずしも冒険者ギルドで依頼があるとは限りませんから、そう言った意味でもここの方が良いかなあ、と。」
ああ、何だかさっきのおじさんもそうだけど、セシル達以外と喋るの久しぶりだから緊張するなあ。上手く伝わったかな?
「・・・・今、商人ギルドは一番閑散とした時間ですし、もし私でよければ別室でお話を聞きましょうか?」
「え?いいんですか?ありがとうございます。ちょっとここでは出せない品等もあるので助かります。」
「あら?そうなの?まあ商人ギルドは商談も致しますから、個別の場所は沢山ご用意しているのですよ。では私に付いてきてね。」
僕はこのお姉さんの後をついていきます。
わ・・・・気が付かなかったけど、物凄くスラっとしていて、でも何だか身のこなしに見覚えがあるようなないような。
しかも右手の指輪は・・・・婚約中?婚約指輪だよね?
うーん、絶対モテるでしょこのお姉さん。でも婚約しているの?
歳は僕より少し年上?ぐらいだろうから、今まさに・・・・って何を考えてるんだろう。
だけど何だか見た事があるような気がするんだけど、初対面だよね?
・・・・
・・・
・・
・
案内された部屋はこじんまりとしていて、4人ぐらいで商談する場所かな?
「少々お待ち下さいね。お飲み物などを用意するわ。」
僕は1人になりましたが、驚くような速度でお茶請けと飲み物を2人分持ってくるお姉さん。
うわ、早い・・・・
そしてじっと僕を見つめるお姉さん。
うーん・・・・誰だっけ?
こんな女性、忘れるわけないんだけどなあ?
「・・・・まだわからない?」
「・・・・その、さっぱり分かりません。」
「・・・・まあ、色々話したい事もあるけれど、もう1人が急ぎ戻ってくるから、それまで待っててね?」
ウインクしてくるけれど、えっと本当に心当たりがないんですけど?
貴女は誰ですか?
僕は女性って3年もすればすっかり変わってしまう、という事を認識していませんでした。
なので目の前に居る女性の3年前ってどんな姿だったか想像できませんでした。
その結果この女性のいう事が理解できていませんでした。
それになんだか嬉しそうにしている女性。
そして何だか部屋の外が騒がしい感じがして何だろうと思っていると、突然ドアがバン!と開いて・・・・
「デルク!!なんだよお前生きてるじゃねえかこんちくしょお!!」
そう言って立派な身なりの青年が僕を抱きしめてきます。青年だよね?
まともに顔を見ないうちに抱きしめられましたから。
そしてスパン!といい音が。
「相変わらずの馬鹿ヴィーベ!何で先に言ったのよ!私が先に見つけたのよ!」
「いてええ・・・・」
その青年が離れて、今度は眼鏡の女性が優しくハグしてくれます。
「おかえりなさいデルク。生きていると思っていたわ。」
僕はドギマギして、その女性を引き離します。
そして・・・・思わずその女性の眼鏡を奪って、その顔をじっ―――――と見つめます。
・・・・・・・・・・・・え?あれ?もしかして目の前に居る女性ってリニさん?それといきなり乱入した青年?彼ってヴィーベさん?
「・・・・リニさん?それにヴィーベさん?」
何でここにいるの?
トゥーニスさんについていったのでは?
「そうよデルク!おかえりなさい!」
「おかえりデルク!やっぱお前しぶといなあ!」
僕はいきなりの出来事に混乱してしまいます。
そして僕はヴィーベさんの右手にはまっている指輪にも気が付きます。
お揃いの指輪?2人はなんだかんだで婚約したんだ?
「ええとその、ただいま・・・・」
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