第88話 鍛冶のレベルが上がっていく

 3人には僕が打った短剣を持たせ、どんどんレベリングを行ってもらっています。

 一方僕といえば、ひたすら鉄を錬成し鍛冶。

 良質な鉄を用意し、ひたすら短剣を打っていきます。

 最初は思うように打てませんでしたが、気が付けば最初と比べ半分以下の時間で全ての工程が終わっていきます。

 そして無駄に・・・・そう、使い捨て前提で打っているにもかかわらず、何故か刀身に文様が入っていたり、柄に細工があったり。

 あれ?

 無意識に何かしていた?

 どうやら細工師というのがあって、ついついその細工師にジョブチェンジをし、細工のスキルを使っていたようで。

 そしてもう僕の足場には短剣が所狭しと並んでいます。


【家】周辺はダンジョンにもかかわらず、地面にアイテムを置いても消えません。

 ダンジョンの中では一度獲得したアイテムは暫く床に放置すると、いつの間にか消えてしまうのです。

 しかしこの【家】周辺にはそのルールが適用されないようで、消えません。

 ゴミが出れば・・・・まあ殆どゴミは出ませんが・・・・レベリングする時に道中捨てるか、大穴に落とすかしています。


 そんな事を考えていると、なんだか文様がうごめいて?いる短剣がある事に気が付きます。

 あれ?こんなの打ったっけ?

 どうやら何かしら、恐らくは魔法の効果を付与してしまったようです。

 ありゃ。これって投げナイフとしてはどうなのかな?


 まあ収納かばんに仕舞っておこう。

 万が一にはこの付与された短剣が役立つかもしれません。


 そんな事を思っていると、3人が帰ってきます。


「デルク、無理禁止って言ったはず。」

 セシルはどうやらジト目で僕を見ているようです。

 もはやあきれ果てた?

「おかえりセシル。食事が終わったら今度はこれを持っていくといいよ。」

 足元の短剣を見せます。

「次は一緒。」


 どうやら僕を連れていくようです。

「しかし時間が経つ毎に数が多くなっていくな。デルクの鍛冶スキルって相当上がっているんじゃないか?そろそろ鉄以外も打っていいんじゃないかい?」

 レイナウトは事ある毎にそう言ってくれるけど、まだ早いよ?

 まあミスリルを扱って囲いは作っているから、ミスリルぐらいはいけるかも。


「ねえデルク、何てもの作ったのよ?これ使い捨てにはもったいなさすぎるわよ?」

 あ、付与の短剣がまだ残っていた。

「何か気が付いたら付与していたみたいなんだ。」

「気が付いたらって・・・・これ付与だけじゃないよ?何よこの柄。しかもこれ無駄に細工が凄いんだけど?こんな細工なのに何で握りやすいのかしら?」


「何でだろう?実用性を重視しつつ、見た目にも拘りました、みたいな?」

「まあデルクが無理していないならいいんだけどさ。どうだ?そろそろ僕とセシルに実用的な剣を打ってくれないかい?今持っているのは鋼の剣だけど、ここにはミスリルや、貴重な鉱物が沢山ある。今のデルクなら打てるんじゃないか?」


 打てる可能性はあるけれど、まだ命を預ける程のは無理じゃないかな?レイナウトの剣は鋼だけど、セシルのはあれミスリル製だからね。それも何かしらの付与が施されている。

「もう少しレベルが上がってからにしたいかな。」


「まあデルクが乗り気じゃないなら仕方ないけど、そろそろダンジョンを脱出する準備をしておいてもいいのじゃないかと思うんだ。」


「だからって剣だけでは無理じゃない?鎧に関しては全く用意できないよ。まあセシルは今の装備で何とかりそうだけど、ロースのは無理だ。どちらかと言えば今着ているローブに何かしらの付与をすべきと思うけど。」


 ロースは今レベリングで剣術を鍛えていて、身に付きつつあるけど、本職は後衛の精霊使い。


 精霊を使役し、精霊に色々行ってもらう職業。

 なので実際剣を自ら持って戦う事態にはならないはず。


 そうなる前に使役している精霊が守護してくれる。

「それもそうだけど、じゃあロース、そろそろ本格的に精霊使いのレベルを上げていかないかい?」


「え?ここで?精霊がなかなかいないのよ。」

「土の精霊はどう?土魔法は有効だし、きっと土の精霊は沢山いると思うんだ。」

「うーん、土の精霊さんって恥ずかしがり屋でなかなか出てきてくれないよ?」

「そこは精霊使いの腕の見せ所だよ、多分だけど。」

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