第12話 国王の庶子?

「それにだな・・・・君はまだ子供だから知らんと思うが、国王陛下は根っからの遊び人なのだよ。そして幼馴染である宰相閣下もまた、国王陛下と共に悪童だったのだよ。」


 うん?何か聞いた話と違います。

 確かに宰相閣下と国王陛下は幼馴染、しかも冒険者時代は同じパーティーメンバーで、数多の英雄譚をあちこちで見かけるのだけど・・・・


「国王陛下と宰相閣下は冒険者時代、同じパーティーで活躍し、数多の英雄譚を街のあちこちで残したと聞き及んでいますが、違うのですか?」

「それだがな・・・・ある意味英雄だな。英雄色を好むというだろう?」

「英雄譚と違いますが、そういう方もいらっしゃると聞いた事はあります・・・・」

「かく言う俺も、国王陛下の落とし種さ。」


「え?トゥーニスさんって、王子様なんですか?」

「いや、俺の母親はこの街で普通に暮らしている。まあ庶民だな。いや、庶民と言うのは無理があるか。まあ国王陛下と一時期同じパーティーに所属していたと言うべきか?国王の子を宿したからそのまま引退、そして此処に居ついたわけだ。」


 うわあ・・・・同じパーティーメンバーに手を出して、相手はそのまま引退?


「一応俺は貴族の称号を貰ってはいるが、一代限りの準男爵だしな。」

「はあ・・・・でも、国王陛下が遊び人で、トゥーニスさんも遊び人だったんですよね・・・・親が遊び人だと、子も遊び人になりやすいんですか?」

「いや多分違うな。国王陛下の子供で遊び人は・・・・数人だ。残りは色々だな。」

「そうなんですか・・・・」


「まあそう言う話は追々してやろう。それよりもだ、先ずはここの生活に慣れる事だな。そして1週間程過ごしたら、少しずつ遊び人の事を教えてやろうではないか。そして、5年後に備えるのだ。」


「先程から気になっていたのですが、、5年後に何を備えるのですか?確かに僕達は5年後、15歳になれば冒険者となって金を稼ぐ必要がありますが、まだまだ時間はありますよね?」


「あるといえばあるが、あっという間だぞ5年なんて。それに今、デルクは俺の所にいるからいいが、1人で街の中を歩いてみろ、途端に誹謗中傷、そして投石の被害に遭う。運が悪ければ殺されるな。中には住んでいる街に遊び人がいるのを恥と思う連中もいるからな。だがまあ、普通は年に数十人程遊び人が増えるから、全員をそんな風にする訳にはいかんのだがな・・・・」


 僕は運が良かったのでしょうか?


「それに本来は遊び人が現れたら国へ報告をせねばならぬ決まりなのだよ。しかしあの司祭はそれをしないだろう。出世の邪魔になると思い、秘かに其方の命を狙うかもしれぬ。もしくはダンジョン等で修行中に、事故に見せかけ始末するやもしれぬ。一歩外へ出たら、常に油断する事のないようにな。」


 大丈夫なのでしょうか?

 それにあんなに親身になってくれた司祭様を、どうしてトゥーニスさんはこのような言い方を?もしかして実際は・・・・いや、疑っては駄目ですね。

 ここはじっくりと見極めないと。

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