第5話 司祭様と話します

 結構時間が経った後、やっと司祭様が現れます。


「ふう、すまんなデルク。まさかこのような事態になろうとは。」

 司祭様がそう仰って下さるのは、ひとえに僕がここに時間があれば手伝いに来ていたからです。

「こればかりは仕方ありません。遊んでいたつもりはないのですが。」


「しかし皆のデルクを見る目は酷かったのう。今後其方は周りから常にああした目で見られるであろう。他人の助けも期待できまい。何せ遊び人という職業、大成した人がおらぬのでな。役立たずの烙印を押されて久しい。」


「ええ、知ってます。街にも数人いらっしゃるだけとか、遊び人の職業。」

「何だ知っておるのか?」

「ええ。何度かお話をしましたが、【君が遊び人になったらまた来なさい】と言われるばかりで、何かあるのでしょうか?」


「さてな。儂も遊び人はよく知らぬのじゃ。心底遊んだ奴がなる場合もあるが、そうでない場合もある。デルクは儂から見ても遊んでおったようには見えぬがな。さあて、今後の事じゃが、3つも職業があると、成長にも時間がかかろうて。」


 僕の職業は3つ。職業が3つあるとレベルを上げるのに時間が掛かってしまいます。

 つまりは成長速度は人のおおよそ三分の一。

 これだけでも大いなるハンデを背負った訳ですが、職業が遊び人。

 何処のパーティーも僕を入れてくれないでしょう。


「15歳になれば、冒険者として外で活動をする事になろうが、ソロでやっていくしかあるまいて。運が良ければ誰か入れてくれるかもしれぬがな。」


 15歳になったら一緒にパーティーになろうと約束していた友人は皆、僕から離れました。悲しい。正確にはそうではありませんが、一部は泣く泣く離れざるを得ないといった所です。


 まさか選定を受けた職業でこうなるとは夢にも思いませんでした。


「家に戻って家族に報告をせねばなるまいて。確かデルクは親戚の所で世話になっておるのだったな?」

「はい、もしかしたら追い出されるかもしれませんが。」


 そして司祭様は何かを思い出したように、

「おっと忘れておったよ。これはデルクのカードじゃ。ここに血をたらせばよい。」


 そう言ってカードの裏を示して下さる司祭様。

 僕はカバンから小型のナイフを取り出し、指先を少し切ります。


 そしてカードに垂らすと、カードが光り、内容が書き換わります。




 <名前:デルク・コーネイン>


 <種族: 人間>


 <年齢: 10>


 <性別:男の子>


 < LV:  0>


 <職業:①遊び人Lv0:②遊び人Lv0:③遊び人Lv0>


 <力 : F>


 <体力 : F>


 <知力 : B>


 <精神力 : B>


 <俊敏 : E>


 <魅力 : C>


 <運 : A>


 <保有スキル>


 鍛冶Lv1・道具作成Lv1・剣術Lv1・採取Lv1


 <特殊(ユニーク)スキル及びギフト>

 ???・???・???


 <称号>


 遊び人見習い


 <所属>


 無し


 と表示がされています。

 これが僕ですか?

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