第4話 ざわつく周囲

「おいおい!セカンドジョブも遊び人って、何でファーストジョブとセカンドジョブが同じなんだ?」


 誰かがそう言って司祭様に問い詰めています。

「いや、儂も驚いておるのじゃよ?何かの間違いじゃないかのう?3つまで選定できるジョブなのじゃが、これらは複数選定しても同じジョブにはならぬはずなのじゃ。」


 改めて調べる司祭様。


 周りの人達も見ていますが、僕は一体どうしたらいいの?

 まさかの外れ職業2連発。

 確か選定で得られる職業は、同じ職業にはならないと本にも記載してありましたし、そう聞いてました。

 しかし現実は違い、同じ職業を2度引いてしまいました。


 この時僕は、正常な判断ができずにいました。


「む。特におかしな所はないのう?」


 机の上に選定板を置く司祭様。

「これは困ったのう。国に確認を求めるか・・・・っておいデルク、やめろ!」


 流石に3度目の正直で、次こそは違う職業を。


 そう思った僕は、司祭様が止める間もなく、3度目となる選定板へと手をかざします。

 すると何か輝きましたが、


 結果は・・・・


【遊び人】


 僕の職業は

 ファーストジョブ :遊び人

 セカンド ジョブ :遊び人

 サード  ジョブ :遊び人


 僕はサードジョブまで選定した人を知りませんし、聞いた事もありません。まさか自分がこんな事になろうとは思ってもみませんでした。いえ、一応遊び人も調べてはいました。どちらかと言えば、周りの知人が遊び人になった場合に助言をしたいと思っていたので。


 そして、周囲の人達は、僕から距離をとり始めます。司祭様を除いて。

 で、僕の後に選定板を触ろうとする人は誰もいません。万が一僕の後に選定をして遊び人になってしまったら、そう考えたからでしょう。


「デルク、お前は少し残っておれ。奥に部屋がある。そこで待つように。」

「はい・・・・」


 僕は仕方なくその場を去ります。

 ですが、僕に声をかけようとする人は誰もいません。


《うわ!実はデルクって遊んでいたのかよ!》

《見損なったわ!私あの人は優秀って信じてたのに!》

《あいつとパーティー組むつもりだったんだよな。どうすんだよ?》

《だが何かの間違いって事もあるしな。デルクだぞ?》

《てめえ何言ってやがんだ?ちょっと魔法戦士引いたからって余裕ぶっこいてんじゃねえよ?》

《いやだって、もしデルクが大成したらどうすんだ?》

《いや無理だろ?遊び人で成功した奴っていないよな?》

《でもでもあのデルクってそもそも遊ぶ暇はなかったわ!》

《うわ、精霊様を使役できるって思って余裕だなおい!》


 僕はこの日を境に、友人だと思っていた人々を殆ど失いました。

 しかしそんな中ごく少数の友達はかばってくれていたのが唯一の救いでしょう。


 そしてなかなか選定板を触ろうとする人はいません。

「仕方ないのう。本来なら来年選定を受ける者もここに来ておるからな。5年に1度じゃからな、まあ何も知らぬその者達の誰かにやってもらうか。」


 そう司祭様がつぶやき、僕達より一つ年下の子供達がやってきます。

 司祭様は既に説明をしていたようで、最初にする人はたまたま先頭にいた女の子、だよね?

 遠目から見ても明らかに頭一つ小さいし、身体は細く見えます。

 そんな彼女が?選定板に手をかざしていきます。

 そして出た結果に周りが大騒ぎを。

「なんと!このような職業を得るとは!おめでとう!」

 どうやら当たり職業を得たようですね。僕の後に引いたのが遊び人でなくてよかった。


 僕は何の職業を引き当てたのか、そして彼女が誰か知らないまま言われた部屋に入ります。

 その彼女とは後に運命的な出会いをするのですが、この時の僕は知るはずもありません。


 彼女の名は

 セシル・ヴァウテルス

 この時9歳。


 彼女が引き当てた職業は、


【神聖騎士】


 聖騎士の更に上位になる職業で、最初の選定で選ばれる事はまずない超レアな職業。

 回復及び補助魔法を得意とし、なおかつ重装備による前衛職をこなす。


 但し彼女は小柄で華奢なため、重装備では重すぎて装備できず、専用装備を装備してもやはりその重量ゆえ動きは遅くなり、

 尚且つ成長の非常に遅い職業なため、最終的には皆から見捨てられる運命にあった。

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