第3話 遊び人

 職業【遊び人】


 外れスキルの代表格とされている。


 遊ぶ事に長けたスキルであり、ごく稀に貴族のボンボンがなったりもする、どうしようもない職業。

 生産職の役にも立たず、冒険者としての活動もほぼできず、間違っても前衛での戦闘は期待できない。

 役立たずの職種の代表格。ただただ残念な職業。


 ・・・え?・・・・え?・・・・・ええええええ????


 え?と思ったのは周りの人も、司祭様も同じで、

「へ?あ、遊び人じゃと?そんな馬鹿な!かれこれ10年この教会では出ておらぬ職業じゃぞ?しかもデルクは元々才能ある少年じゃ!おい!ちょっと選定板を調べろ!」


 あわてて教会の人達が選定板を調べますが、

「司祭様、異常は見えたりませぬ!」


「なんと!どう言葉をかけてよいか、残念じゃデルクよ。どうする?ここ5年程誰もセカンドジョブを選択しておらぬが。」


 僕は唖然としてしまいました。

 外れスキルの代表格であるとされる遊び人。

 まさか僕がそれになろうとは。

「え、ええと、どうしましょう?」

「もう一度引いた方が良いじゃろうな。」

 引くとは選定をもう一度行うと言う意味です。

 それしかないですよね。


「そ、その申し訳ありません司祭様。も、もう一度選定します。」


「そ、その方がよさそうじゃの。儂も遊び人を選定で見るのは初めて・・・・・・・・・・・・・・・・じゃが、何でかの?その方まじめで何事も積極的にしておるのは知っておるし、街の住民も其方に色々してもらって感謝しておるのだ。まあこういう事もある。ではセカンドジョブを。」


 この時僕は、今度はちゃんとした職業になるよね?と内心遊び人を選定しまって焦っているのだけど、まだ次があるからと心を落ち着かせます。


「わ、遊び人って街中に居るよね。」

「ああ、どうやって生活してるか知らないが、確かにいるな。」


 今この街にいる遊び人の大半は、おおよそ10年前に選定を受けた人々らしいです。

 僕も何度か会った事があるけれど、一癖も二癖もある人々でした。

 何でこんな人達が遊び人?と思うような人達もいました。

 まさかこの人達と接触しちゃったから遊び人に選ばれちゃった?



 ですが他の街から流れてきた遊び人も結構いたりするので、実際には5年前の選定でも遊び人は一定数存在しているはずです。


 いやそれなら僕みたいな10歳になってない人には、遊び人と接触させないようにするよね。


 そんな事を思いながらもセカンドジョブへ。


 僕は震える手を選定板に手を置き、セカンドジョブが何になるか、目を凝らして見守ります。


 皆固唾を飲みながら見守る中、

 僕が引き当てたセカンドジョブは


【遊び人】


 だった。



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