スカウト組、潜入~怪盗は眠らない~

 スカウト組2人が北駅区に到着したのが20時。


 駅前には警戒中の冒険者の姿が見られましたが、学院の敷地に入ると人の行き来はほぼ無くなります。


アトランタ:……ヘキサ、見つかった時の言い訳は「追加で調べたいことができたが学生や職員の邪魔をしたくなかった。行けると思った」ですわよ。


ヘキサ:覚えておくよ(決めポーズ)。別々に潜入して教授部屋前で落ち合おう。


ポポ(留守番):2人ともがんばれー。


GM:隠密どうぞ。成功すれば人目につかず、学舎に入り込めます。


アトランタ:サイレントシューズ付きで基準値14!(ころころ)……18ですわ。


ヘキサ:(ころころ)出目11で達成値20! あーっはっはっはぁ!


アトランタ:負けた!?



 音も無く目的の部屋前に到着。ケストナー教授の部屋がある棟には人気は殆どナシ。


 聴音器で聞き耳判定もして、部屋内に誰の気配もないことを確かめると、鍵開けに掛かりますが、【魔法の施錠ハード・ロック】に行く手を阻まれてしまいます。アンロックキーを準備してなかった2人は、軽業判定で二階の外壁をこそこそ伝って、窓から部屋の中に侵入することに。



ヘキサ:今日もボクの手際は美しい……!


アトランタ:潜入完了ですわ! 家探しに明かりが欲しいけど、ランタン明かりは目立ちますわよね。暗視持ちのヘキサに期待。


ポポ(留守番):〈レインボーリング〉を貸しておけばと思ったけど、コレも半径10mを色鮮やかに照らしちゃうから目立つのは同じか。


GM:七色に輝くゲーミング怪盗。〈頑丈なランタン〉はシャッター絞れるヤツでは?


アトランタ:あ、龕灯ガンドー式でしたわね。〈迅速の火縄壺〉で点灯。


GM:照明ペナルティはこれで解消です。


アトランタ:では探索判定を (ころころ)達成値21。フフフ、スカウト8にしといてよかった。完璧。


ヘキサ:(ころころ)6ゾロ。フッ……また、魅せてしまったね。


一同:!(笑)


アトランタ:マジの完璧をお出ししないでくださる!?


ヘキサ:セージの判定場面で出てよって思ってるよ(笑)。


GM:少し年季の入ったキルヒアの聖典が、無造作に本棚に押し込まれています。うっすらとホコリを被り、ここ一年ほど開かれた様子なし。


ヘキサ:積読つんどくかな……。


GM:(ここ1年ほどで精神性が変化したって描写よ)そして達成値16以上で、棚奥にスライド戸を発見。罠は無し。


アトランタ:貴重な資料の隠し場所でしょうか。


GM:隠し戸の中には、魔晶石がいくつか。〈正体不明の薬液〉が2瓶。魔法文明語らしき文字が刻まれた巻物スクロールや羊皮紙が多数見つかります。


ポポ(留守番):……露骨に不審な物があるね。


GM:巻物スクロールは……召異魔法デーモンルーラーの契約書。新しい呪文覚えたり召喚供物代として使うヤツ。



アトランタ:あー……(理解)。あ~~~~~~~~~! ―――クロ



一同:!(笑)


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

●デーモンルーラー技能

 サプリメント『ML《モンストラスロア》』で追加(再録)された魔法系統。


 その名前通り、「魔神を召喚して操る」「異界の力で敵を呪殺する」「人族を洗脳して生贄人形にする」などの強力かつ倫理的にも危険な魔法が揃っています。


 使い方を誤ればダークヒーローを通り越して、冒険者の討伐対象です。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


ヘキサ:やっちゃおうか(笑)。


ポポ(留守番):まって、もしかしたら善良なデモルラかもしれないよ!(笑)


アトランタ:2.5版アルフレイムのデモルラは、対魔域のプロフェッショナルという立ち位置もあって、イコール犯罪者ってわけではありませんけど……。


GM:ん? 魔神を永続召喚するNPC用の違法契約書も混じってますが?


アトランタ:有罪! 閉廷ですわ!


一同:!!(笑)


GM:そして、件の中抜きされた発掘文献ページも保管されているのを発見。


ヘキサ:やったー! 中身を確認しようか。


GM:『真っ白になって倒れた魔神将&刃が禍々しい黒色に染まった聖剣の図』


ヘキサ:つまり……あの剣には魔神将が宿ってる……ってコト!?(理解)


GM:先ほどの鑑定で得た剣の情報、プラス〈堕落のオーブ〉についての記述付きです。「〈堕落のオーブ〉は人族の肉体を変異させる邪法の道具なり」、触れると変異の魔法が発動して、魔神の依り代に適したボティに作り替えるんだとか。


ポポ(留守番):壊さなきゃ……。



 アトランタは〈正体不明の薬液〉瓶の中身を水筒の水と。契約書類を白紙の羊皮紙と入れ替えた上で、【幻影イリュージョン】を被せることで盗みの痕跡を隠蔽します。



アトランタ:羊皮紙には「怪盗参上」とサインを添えておきますわ。


GM:わざわざ後でバレる余計な一手間を(笑)。


ポポ(留守番):この一手間を惜しむヤツは怪盗として大成しない……。


ヘキサ:明日には魔法が解けて、サインが浮かび上がるという仕掛けだね。いこうか。



 スカウト組、鮮やかな手並み(?)で文献を盗み出すと、音も無く退散しました。



GM:ではポポのいるグランドターミナル駅サイド。百貨店はもう営業終了時刻。


ポポ:もきゅもきゅ(駅のベンチでサブ〇ェイサンドを食べながら待機)。


GM:待機中、21時頃にホームの方で駅員さんのアナウンス。「東西線、線路内に人の立ち入りがあったため現在運転を見合わせておりまーす」


ポポ:すわ何事。危うくノドに詰まるかと思った。


GM/駅員:「中央平和公園の方か?」「まいったなー、30分の遅延だよ」


ポポ:なんだろうね。まぁ2人の帰りを待つけど。


GM:なら22時半にスカウト組が帰還して全員合流です。


ポポ:どこ行ってたのー? 事前に知らされないのである。口が軽いので。


ヘキサ:アトランタは今日も月のように美しかったよ……。




アトランタ:エドガー含む全員で、かっぱらってきた品々の情報を共有しますわ。


ポポ:謎の薬を薬品学判定するよ、(ころころ)達成値15。


GM:ペロ、これは魔法文明時代製の〈魔神化血清〉相当品。死体に注入すると【蘇生リザレクション】効果が得られる便利な実験薬。ワォ。


ポポ:ウルトラ希少な蘇生の薬だったよー。


アトランタ:明らかにそれ以上の効果がある名前でしょう!(笑)


GM:うん、肉体が魔改造されるいつものヤツ(ヴァイスシティ、好評発売中)。


ヘキサ:なかなかの品ぞろえだな。これだけで真っ黒だね。


アトランタ:文献を隠しておく理由がどこにもありませんわ。


GM/エドガー:「なんてことだ! ケストナーは『赤い魔神』がオレの仇だと言っていたのはウソだったのか!」


ポポ:でも、やけに、う……「うわん」? だよね。手間が掛かってるっていうか。


アトランタ:たしかに迂遠うえんですわね。まだ何かありそうですが。


GM/エドガー:「もう、ケストナーのヤツを捕えない理由はなくなった!」


アトランタ:どうどう。真っ黒ですが、まだ取りこぼしがありそうですわ。


ポポ:エドガーくん、【血の印ブラッドマーカー】も付けられてそうなんだよね。


ヘキサ:デモルラの説明で聞いたけど、呪いを刻んで位置を把握し続けるヤツ?


ポポ:そうそう。剣の中に詰まった魔神パワーもどうにかしておかないと。最悪エドガーくんが魔神将の容れ物にされちゃうかもだし……。


ヘキサ:高エネルギーだと思うし、出すだけだと危なそうだね。困った。


アトランタ:呪いなら神殿で解呪ですわ。この都だと一番優秀な神官、ストラスフォード神殿とかにいそうですわね……。


GM:総本山だし【神格招来コール・ゴッド】使える人いるかも。


ポポ:でも……お高いんでしょう?


ヘキサ:そんな貴方に【チャーム】!


一同:!(笑)


アトランタ:15レベル神官相手は流石にレベル差がありすぎますわ。


ヘキサ:掛からないか……。(←残念そう)


ポポ:代わりに首に縄がかかると思う。



 夜も更けて、そろそろ眠くなってきた冒険者たち。錆色人魚軒コーヒーハウス近くの拠点宿への帰りがてら、ヘキサのコネがあるアステリア神殿に寄ることに。



GM:……はい。ここは、壁街の小さなアステリア神殿。かつて、都に神殿を建てることになった時、大成した芸術家たちがお金を出して人工的で絢爛けんらんゴージャスな神殿を建造して、現世利益を願う“芸術の神”讃美の歌を披露したところ、招かれた自然派のアステリア司祭様が「冒涜は許さーん!」とキレ散らかしたため、現在の慎ましやかな形になった歴史を持ちます。


ポポ:激動だ。いつ聞いても面白い来歴だよね。


アトランタ:両者かわいそう。哀しいすれ違いですわ。


ヘキサ:小さくも美しい神殿だよ。ここにボクの像を立てるともっと美しい!


ポポ:華美なもので飾るとまたエラい人が怒るよ?


GM/司祭:「いかん、いかんぞヘキサ。失敗を繰り返そうとしている」今神殿を預かってるのはエルフの男性司祭。件の司祭様かは知らないけど自然派。


アトランタ:夜分遅くに申し訳ございません。仲間が魔神使いの呪いに掛かってしまって。


ヘキサ:頼むよ、司祭殿!


GM:手間のかかる弟子みたいな関係かな。ヘキサのお願いなら確実化もオマケしときましょう。腕輪・専用聖印込みで魔力14。


一同:つえー!


GM:神殿小さくても自然派強火のアステリア神官ならレベル高いかなって。


アトランタ:眠そうなエドガーを差し出しますわ。


GM/司祭:「どんな呪いかは分からんが」(ころころ×2)達成値24、17。うん1回目で何らかの呪いが解けた。


ヘキサ:いやぁ、やはりキミは素晴らしいよ司祭殿!


GM/司祭:「年末の神殿掃除ではカーテンの洗濯を担当するように」


アトランタ:これで解呪が向こうにもバレましたわね。


GM/エドガー:「なにか、少し晴れやかな気分だ。いつの間に呪われていたのか」


ポポ:最初に剣を拾った時じゃない? よく覚えてないんでしょ?


アトランタ:記憶がない、と言っていましたしね。


ヘキサ:冒険中にいつでも機会はあったろうけどね。そこは考えても無駄かな。


GM:(まぁ、教授がクロ確定しちゃったこの段階だとね)


アトランタ:今後、教授とは接触を避けてくださいまし。そもそもあなた嘘がつけませんしね……。


GM/エドガー:「わかった。オレにできるのは喋らない事だけだ!」


ポポ:そろそろ深夜0時だ。六時間は眠らないと力が出ない。


ヘキサ:魔剣のコマンドワード?の起動実験や調査は明日にしようか。


ポポ:どっか安全な所でエドガーに唱えてもらおう。出てくるとしたら魔神的なモノだろうし、都にあるならイーヴ神殿が候補地かな。


アトランタ:たぶん一番はアステリア神殿。物が少ないし、万が一の時に優秀なプリーストが近くにいますし。


GM:エルフ司祭殿、かわいそう(……しかし、逃げ場のない場所でアレコレされるのはヤバいな。皆が寝たタイミングでか)。


アトランタ:今夜はエドガーも一緒で、宿に四人部屋を取りましたわ。


ヘキサ:いやはや、両手に花じゃ済まないなぁ!(ベッドイン)


アトランタ:花? ワタクシは樹木系のメリアでしてよ。どうせ私は睡眠不要種族なので、見張り代わりに立っていようかと思っています。


GM:(ぐ、8レベルスカウトが不寝番に立ってるとキツイ。……やめやめ。どうせ次が戦闘だし、そのゴタゴタを狙おう)



 草木も眠る丑三つ時にも眠らない樹人メリア、シティでは強敵です。

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