5.雲も鏡となり

星雲の佇みへ凛とした時計たちが幾千万

ときどきガラスのヒトデのように、ちくちくした信号を送っているよ


雲は流れる

お構いなしに

やわらかなコートのようさ、ぴっちり地球をくるんだら、

青い鏡になれるんだ


そのとき古い星たちに映し出されるのは自分達の記憶だけだ


(やあ 見てご覧。

若い星で何か起きているよ。


(あれ 私達が

とうの昔に片付けたことだ。


(どうして幕を張るのかな。

手品のように見えるだけさ。


私は宇宙に群がる霞を淡々と食べられてしあわせだ

いくら生きても食べ尽くすことのできない沈黙を

体の中の枝にしっかり絡みつかせたままたましいを穹へ向けて伸ばす


夜空に向かって「やあ・・・」と手を振る

鏡の破片はウィンクをやめてそのとき

「ああ届いていたのか」とあっさり隣同士へ目配せをしあい、

そしてちらちらとまた残り火のように形ばかりのシグナルを投げ返す

僕が受けとめるまえに風がみんなさらっていった


僕は風にあわせてハミングする


永遠とあなたたちの距離をまたひとすじの雲が、まるでお見通しとばかりに閉ざしてしまう


とざされる視界に身を任せている


一対の骨が震えて、地球の裏で夜が明ける

僕の鼓動から人魚が躍り出て、

天上の月に誘いかけるとゆったりゆうゆうと背泳ぎで行ってしまった

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