3.にわたずみ
ひとつ忘れられぬまま雨の中
盾にした傘は内側へ悲しみをこだまさせるとは私も知らないままに
時間を焼く炎の波、悔恨がふち取り、肌の内をふたたびみたび微毒の濁流が通りすぎる
雨は何度も、私の中の君をつれてゆく
雨の止まないうちにさよならを言うふりをしたら、もうつらくなくなるかなぁなどと思い、傘を回してみたけど
知りながら、記憶の川をさかのぼれば、生まれる君は美しいまやかし
苦いけど、思い出さずにいられない
雨上がりの新しい風を迎えたら、また忘れてしまう
忘却の中に安息しようとしていた君を、弱虫の私はいつまで引き留めるんだろう
さよならと言ってみたけど、この名前のない関係は
──消えなかった
かつて青かった空
今はにじんでゆく空と一緒に
赤く弔ってほしい
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