第34話『永続召喚Ⅳ、そして……』
★ ★ ★
アリス・アーデルハイト・クリムゾンクラット 12歳 女 レベル:不明
種族:不明
HP:21167/9167
MP:なし
筋力:1265
耐性:15712
敏捷:1598
魔力:63198
魔耐:12143
技能:特異空間創造・宝石使い
★ ★ ★
確かに……こうして見るとルゼルスよりも弱そうに見える。
絶対に逃げられない空間を作られるのは厄介だが、それも魔術で防御すれば問題ないし、たとえ逃げるにしてもこの敏捷値では俺やルゼルスから逃げるのは困難だろう。
「ねーえー。いいでしょいいでしょいいでしょ~~。もしアリスが何かやっちゃったらなんでもおしおきしていいから~~。その時は監禁でも凌辱プレイでも喜んで受け入れるから~~」
「前者はともかく、後者はお前意味すらわかってな……あぁ、そっか。俺の記憶を得てるんならそこら辺の知識も身に付けちゃってるか。そこは本当にすまん。要らない知識をつけさせて申し訳ない」
「んふふ~~。ぜんっぜんいいよ~~。むしろアリスはアレやりたいっ! 〇ックス!! 男の人のアレってそういう風に使うんだねーー。アリス、初めて知ったよ~~」
「……せめて後6年はおあずけな。それだけは譲らない」
「えーー。ぶーぶーぶー」
「そうやってぶーぶー言ってるうちは子供なんだから。そういう事はもう少し大人になってからな。それが約束できるなら……永続召喚してもいい」
「えーー。……え? いいの?」
「ああ」
「わーい、やったーっ! アリス絶対に約束守る。守るよっ! ありがとうラース君。大好きっ!!」
「――っ」
幼い子供に似あった満面の笑みを浮かべるアリス。
そんな顔で大好きだなんて言われたら……いや、何を動じてる俺。相手はガチの小学生。俺はロリコンじゃない……はずだ。
「こ、こほんっ。それじゃあ一旦召喚を解除させてもらうぞ? 二重で同じラスボスを召喚はできないからな」
「はーい。また後でね。ラース君」
そうして召喚解除の文言を口にしてアリスの召喚を解除。
続いて約束通り、アリスを永続召喚させる。
「それじゃあ行くぞ……。永続召喚。対象は――アリス・アーデルハイト・クリムゾンクラット」
『イメージクリア。召喚対象――アリス・アーデルハイト・クリムゾンクラット。
永続召喚を実行――――――成功。
MPを100000消費し、
そうして間を置かずに再び現れるアリス。
「わーいっ! ジ・ユ・ウ・だぁぁぁぁぁぁぁぁっ! ありがとうラース君。いっぱいいっぱいありがとうっ!!」
「お、おう」
無邪気に抱き着いてくるアリス。
いや、だからそんなにくっついてくるなって。感情むき出しにして笑顔になるなってむずがゆいっていうか胸がきゅんきゅんするだろうがおい。というかお前、ゲーム内ではさっきの惨殺シーン量産する童女だったじゃんか。それなのになんだよその無垢な笑顔は。これがギャップ萌えってやつか。いや違う。こんな女子小学生みたいなアリスに俺が異性を感じるはずがない。これは保護者が子供を愛しく思うようないわゆる母性本能を刺激されてるだけだそうに違いないそう思おう。
そんな葛藤を自身の中で繰り広げながらどうにかアリスに対して普通に振る舞う。
そうしていると――例のアレが来た。
『――アリス・アーデルハイト・クリムゾンクラットの永続召喚に成功しました。
以後、召喚者が死亡しようとも永続召喚は継続されます。
被召喚物が完全なる死を迎えた場合のみ永続召喚は終了します。その場合、再召喚は出来ません。
――――――永続召喚ボーナスを獲得しました。
召喚者には永続召喚した被召喚物のステータスの30%が付与されます。
召喚者は永続召喚した被召喚物の技能の一部を獲得します。
※憑依召喚と異なり、永続的に肉体の機能を変化します。
その為、召喚者はしばらくの間、身動きが取れなくなります。ご了承下さい』
「んっ……。悪いアリス。少し離れてくれるか?」
「えーー。……あ、そっかぁ。アリスを永続召喚したから体が痛んじゃうアレが来たんだ」
「ああ」
永続召喚の特典により俺の体が強化される。
もう結構慣れたとはいえ、やはり痛いものは痛い。
ゆっくりと地面に腰を下ろし、体に負担がかからないようにする。
「ふーんふーんふーんふーんふーんふーんふーんふーんふふふふふふふふふふふふふーん♪」
「?」
鼻歌を歌いながら俺の周りをスキップするアリス。
もしかして……構って欲しいのか?
でも、既に楽しそうなんだよなぁ。アリス……何がしたいんだ?
そうして俺が動けない中、微笑ましい時間が過ぎてゆく。
俺の周りをスキップしながら跳ね、楽しそうにしているアリス。
仲が良くなったらしいセンカとチェシャ。
ぶつぶつと独り言を呟いているルールル。
シェルターから出て来たらしいエルフ達に指示を出し、復興作業を進めている健一(ララノアver)と、その健一の周りをうろちょろしているNPCルナ。そして、そんな彼らを静かに見守り、時にはさりげなく復興作業に手を貸すルゼルス。
これにて一件落着。
――そう安心した時だった。
(んん?)
復興作業を進めているエルフの集団の中に、見覚えがある奴が混じっていた。
エルフと同じように耳が少し長く、容姿の整った男。
周りのエルフと同じ金色の髪をしているため、あまり目立っていないがなぜか気になる。
そうして男を見つめていると……ふいに目が合った。
――って……あ、あいつはっ!?
向こうはこちらの顔を見ても何も感じていないみたいだが、こちらはあいつの顔にめちゃくちゃ見覚えがある。
なにせ、そいつは――
『見つけた』
俺の内から響く女の声。
それと同時に、俺の体は勝手に動き出した。
俺の意志に反し、俺の口が永続召喚のセリフを口にしたのだ。
「永続召喚。対象は――リリィ」
『イメージクリア。召喚対象――リリィ。
永続召喚を実行――――――成功。
MPを100000消費し、闇の担い手、リリィを永続召喚します』
そうして勝手に永続召喚されるリリィ。
よりにもよってアリスを永続召喚した後でとは……。
もう少し待って欲しかったが、そんなことに耳を傾けるリリィさんではない。
何より――――――交わされた契約にそんな条項はない。
「ああ……本当に……また会えるなんて……」
永続召喚されたのは腰まで伸びる艶のある黒髪の女性……リリィ。
彼女こそアニメ『コード・アミデロヒー』に登場するラスボスだ。
黒の瞳に涙を滲ませ、先ほど俺と目が合った男を見つめていた。
そうして両者の目が合う。
「兄さんっっっ!!」
「リ……リィ? お前……リリィ……なのか?」
俺とリリィさんが交わした契約。
それは『アニメ『コード・アミデロヒー』の主人公にしてリリィさんの兄である『コウ』がこの世界に現れれば彼女を永続召喚し、それ以降自由にさせる。それまでの間、リリィさんはセンカの修行などに協力する』というもの。
つまり――俺たちの視線の先に居るあの男こそが『コウ』という事だ。
「リリィっ」
「兄さんっ」
駆け寄る二人。
感動の対面。
そうして二人が互いを抱きしめ合う――その瞬間だった。
「リ――」
「兄さんっ!?」
おそらくは妹の名前を呼ぼうとしたのであろう『コウ』。しかし、それは叶わなかった。
それよりも先に『コウ』自身がふっと突然消えたのだ。
「兄さん……」
残されたリリィさんは消えた『コウ』が居た場所にに立ち尽くしていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます