第18話『心を折る戦い』
「「「ハッ――」」」
「お帰りなさい殺し屋のみなさーん♪ さぁ、第二ラウンドの始まりですよー♪」
そうしてルールルと殺し屋さん達は――無事戻りました。
「な、なんだったんだ、今のは? ゆ、夢?」
「俺、死んでないのか?」
「夢にしてはあまりにも……うぇっぷ――」
殺し屋さん達は何が起きたのかも分からず動揺しています。
みんな、ルールルに興味もないみたい。
悲しいな。
「はいはーい。みなさんちゅうもーく。心配しなくてもルールルが説明してあげるよー。じゃないと『平等』じゃないもんね?」
パンパンと手を叩いてみんなの意識をルールルに向ける。
「ルールルはね? 未練があると死ねないの。そういう呪いがルールルにはかかってるんだ」
「死ねない呪い……だと?」
「うん、そうなの。話に付いてきてくれるお利口さんはルールル、好きだよ? それでねそれでね? ルールルは未練があるまま死んじゃうと死ぬ少し前の時間に戻ってきちゃうの。意識はそのままでね」
「んな馬鹿な話が――」
「しっ! 黙って聞いとけ」
殺し屋さん達の中で仲違いが起こっています。
悲しいな、悲しいな。お仲間さんだったらずぅっと仲良くしてないといけないのにな。
「話を続けるね? ルールルが死ぬ少し前の時間に戻るときなんだけどね? なんとなんと、近くに居る人も巻き込んで戻ってきちゃうのです。だからみんながさっき首チョンパされたのは――――――実際にあった事だよ♪」
『死なないと発動しない能力というのも難儀なものね。まぁ、私も不死だから人の事は言えないのだけれど』
「ホントにね~、神様もルールルにこんな呪いかけなくてもいいのに。あれ? 祝福だったかな? まぁ、どっちでもいいや♪」
脳裏に響くルゼルスちゃんの声に応えるルールル。
みんな訝しむかと思ったんだけど、それどころじゃないみたい。みんな、すっごく動揺してる。
「ざっけんな! そんなふざけた『技能』が存在してたまるかっ!」
「大体、その話が本当だとしてもなんで俺たちの首まで刈られたんだ!? さっきの説明だと死ぬのはてめぇ一人だけだろうが!」
殺し屋さんから総ツッコミを受けます。
あぁ、そうでした。ルールルとしたことが
ルールルは補足説明と言わんばかりに
「「「………………」」」
そうすると……あらら、みんな黙ってしまいました。
「そ、そんな『技能』があってたまるか!!」
おっと、殺し屋さんの中でまだ一人だけ、ルールルの言葉を頑なに信じない人が居たみたいです。悲しいです。すっごく悲しいです。
なので――
「それじゃあ実演するね? ――1番、ルルルール・ルールル。今から舌を噛んで死にまーす」
「「「は?」」」
殺し屋さんが信じられないといった顔を見せる中、既に狂って正気なんてどっかに落っことしてきたルールルは躊躇うことなく舌を噛みます。
「ぶへっ。か……アハッ――」
世界は平等であるべきです。
喜びも平等。痛みも平等。
だから――
「ぶっ――」
「かっがぁっ!?」
「たひゅけっ――」
ルールルが居るこの空間は絶対の平等空間。
だから、ルールルが死ぬときはみんなも一緒です。
さぁ――第三ラウンドでまた会いましょう?
『本当に……恐ろしい子だこと』
★ ★ ★
そうしてルールルと殺し屋さんたちは――目覚めます。
「ル♪」
「「「ハッ――」」」
青ざめた顔をする殺し屋さん達にルールルは告げます。
「お帰りなさい殺し屋のみなさん。さぁ――第三ラウンドの始まりですよ?」
殺し屋さんたちにとっての悪夢は終わりません。
終われる方法があるとすれば――そう。
「クソッ、ざっけんな。こんなのに付き合ってられるか! 俺は降りる」
逃走を選ぶほかないですね。
でも――
「ルル? そんなつれない事、言わないでください。途中まで遊んでハイサヨナラだなんて平等じゃないです」
そんなの、平等を愛するルールルは許しません。
だから――こうしちゃいます♥
「――
新たな
そうして逃げた殺し屋さんの一人は――
「は? がっあぁ……があぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
あらら残念。領域の外に出ちゃったので細切れになって死んじゃいました。
「あ、追加報告でーす。領域の外に出ちゃうとあんな感じで死んじゃいますよー?」
「「「………………」」」
「ル? だんまりですか? 悲しいです。さぁ――ルールルともっともっと遊びましょう♪」
そう――これは心を折る戦い。
ルールルの心を折って、
それ以外に殺し屋さん達が生き残る術はないのです。
「さぁ――もっともっとルールルと遊びましょう♪」
狂気に彩られた宴は終わらない。
そうして数十回の死を経由して――――――殺し屋達の心は完全に折れ、彼らは自ら領域の外に出てその命を絶った。
そうして残ったのは狂気の宴の支配者――ルルルール・ルールルだけだった。
「ル♪」
狂気の笑みを浮かべるルールル。
ルールルはその手を掲げ
「――
その場の
「さぁて、ラー君の為にいっぱいいっぱい悪い魔物さんを殺すよー。その為なら私、何度でも何度でも死んであげる。だからラー君? ルゼルスちゃんの次でいいから私を呼んでね? そうして愛して愛し合って――私を愛という幸福の海の中で、未練が残らないように殺してね? アハッ――」
それからルルルール・ルールルは憑依召喚が切れるまで、森の魔物を殺しまわるの
だった――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます