アウトロ
「あははははははは!」
イッツ・ア・スモールワールドの真ん前で灰谷は爆笑した。スマホに届いた伽天からのLINEを読み、ネット検索をかけた。勿論コンテストの結果を見てからの爆笑。
「リュウ、どうしたの?」
「いやっ、なんでもないんだステファニー!」
灰谷の恋人、ステファニーは灰谷を見ながら怪訝そうな顔をする。ミッキーのグローブに、ミッキーの耳を着けた灰谷に、気でもふれたのかと心配そうな顔をする。
「にしても、ケッサクだよ。観たかったなぁ」
「ディズニーやめて、行けばよかったかな?」
「ステファニー?学校がよかったのかい?」
「リュウが一緒なら、どっちでも!」
「そうなのそうなの?なら来年のバースデーはうちのコンテストだね!おれが良い物魅せるからね!」
――次は獲る。待ってろMVM
それにしても、プーさんのハチミツポップコーンは美味だなぁ
☆
「2年連続の快挙、おめでとうございます」
浮かない顔をした泉に、つとめて気丈に言ういちご。
「ハリーさんがいい人でよかったけど、もう【charm】は解散だね」
「でも、最高でしたよ」
「うふっ、ありがとう。君たちも凄くよかったよ」
恥ずかしそうな顔をして5人は顔を伏せた。
「来年はきっと、灰谷くんのバンドとも戦うだろうね」
「勝てる気はしないですがねぇ」
「勝ち負けにこだわるタイプだったっけ?椎名さんは……」
灰谷には、ある意味頭が上がらない。
「とにかく、頑張ってね!」
「まずは、バンド名決めないと!」
「あれっ?あれで決まったんじゃ……?」
寂哉に全員の冷ややかな視線が降り注ぐ。
☆
「まさか、お前の曲が盗まれてたなんてな」
「いや、借りてっただけですよ」
学園の屋上で横並びになり、冠城とハリーさんが夕焼け空の下座っている。
「うんまっ、何このエビチリバーガー」
「飛ぶでしょ。これがオレの実力っす」
「お前、この学園に収まってていいのかよ?」
ジャックダニエルの瓶を傾けて冠城は訊いた。中身は麦茶だが、昔から彼等はこのスタイルなのだ。
「オレは多分、ここが一番落ち着くんすよ」
「……お前らしいな」
「それに、なんか面白くなりそうですし」
にやりと笑うハリーさんに、微かな予感を感じる冠城。コンテストを見て、昔の血が騒ぎ出す。また、ドラムを叩いてみようかな。
「冠城さん、こないだ那覇の校長が来てたんですよ」
「?」
「なんか、ありそうじゃありません?」
「……何を企んでる?」
「いや、冠城さん、今度飲みにでも行きましょうよ。皆と一緒にね」
☆
「次、ぼくらも狙ってみようかな」
いつもの軽い感じで庸平が寂哉に言った。珍しく近所のマックに寂哉を誘う。話したいことがあるというから寂哉はついていった。
「誰と組むんだい?」
「まだ決めてないんだ。キーボードなら決めてるけどさ」
「なるほど、舞奈か?」
「まぁ、あいつも僕のほうがいいだろうし」
――きっと、舞奈もそう思ってるに決まってる。
「まずは、バンド名決めないとね」
「それ、皆に言われるんだよなぁ」
「決めないと、佐須が言うよ。決めないなら、俺っちが決めてあげるよってね」
――それは勘弁。
こちら聖ML学園 回転饅頭 @kaiten-buns
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