Act.15 その再開は懐かしく??
水に火、そして地の精霊の啓示を受けた
足を早めた事で、予定以上の時刻に森到達を見た一行。そこで差し込む連星太陽の織り成す木漏れ日が、差し詰め先住系
「ふむ、何やら懐かしい雰囲気じゃな。光に満ちる所はまあそれとして……ダークエルフ族としてはこの雰囲気、馴染むモノがあるわい。」
「そうおすなぁ〜〜。確かにリドの故郷の様な、
「ああ、それはペネも同感な感じ。ペネの方は森の云々よりも、大地を覆う力の流れに……て、感じだけど。」
そして大地の加護と共に生きるドワーフと
「確かにリドの故郷にも近い感覚だな。まあ、ここまでは
「そうさね。
「ふむふむ。流れ落ちるの下りは、サイザー殿下が提唱する位置エネルギーの法則だね? エネルギーは常に高い所から低い所へ落ち行くが摂理。水流はさらに別の要因が絡むそうだけど、世界の万物はその
「一部それを無き物にする魔導はあるにはあるけど、そもそもそれを展開出来る術師はほんの一握り。世界を支配するのはやはり、物理と銘打たれた法則である。殿下も凄い所に目を付けたものだね。」
「……賢者ミーシャ(汗)。ジーンのダンナなら兎も角、アタイは全くそれ……理解出来ないからね? 」
いつぞやは言葉で畳み掛けられた賢者も、ニヤリとドヤ顔を見せ付ける。同時にそれが、真理の名を与えられただけの価値を見せ付ける形となる。
賢者少女へ贈った名が、相応しき物と改めて感嘆を覚える
並び歩く
「んにゃ? こんな
「おや、先客アルか。ふむふむ、たしかに馬の足跡へ荷車の車輪跡が続いているアル。しかしリーサ様、この道は先も話合った通り危険極まる街道……そこを難なく山越え出来るほどの冒険者を、雇うだけも困難アル。頻繁に、と言うのは少々無理ネ。」
「ほんとだ。車輪跡がまだ新しいわ。でもこれ――」
「馬は二頭だろうが……妙だな。」
お転婆姫が目撃した車輪跡へ、
「……二頭の馬に引かれた荷車。けどその周囲の足跡が少なすぎないかい? 車輪幅からみても小型のものだ。山越えの荷を馬に積めば、旅人も複数乗馬は難しいだろう。馬にそれぞれ一人と考えて――」
不穏がすでに山積みな
しかし直後、真理の賢者も目を覆いたくなる別方向の難事が降りかかる事となったのだ。
∫∫∫∫∫∫
進む森の光景に懐かしさがこみ上げる我が家族の一部。それを現実に引き戻したのは、リーサ様が気付いた街道に刻まれる先客の痕跡でした。
サイザー皇子殿下から聞いてはいました。この姫様は、ウチのテンパロットやヒュレイカの直感を越える危機察知能力を持っていると。そこはちょっと御見逸れしてしまったのだけど、ならばせめてその直感で、後先考えずに事件へ首を突っ込むのだけは勘弁願いたい所だ。
などと口に出さない様に……出しても堪えないだろうけれど、伏せた私は拾われた不穏に警戒を以って街道を進みます。
言うに及ばず我が
誰もそんなおバカ丸出し顔で、正体を偽れとは言ってないからね? お笑い護衛団と言う、過去の嫌なトラウマが浮かんでくるじゃないか。
「そろそろ日も暮れて来た感じ? 」
「なの。手合わせ分の時間ロスは、早めた歩調で相殺出来た……上出来なの。」
「けど付かず離れずで、酔いっぱさん?達は着いてきてるわね。」
そんなこんなの旅路は、夕暮れ時に最初のお宿がある辺境の村に辿り着く算段。ペネにフレード君の意見には同感だね。その算段が狂わず一安心。
けどオリアナも気になる酔いっぱさんの行動は、色々想定外なので注意だ。
この一帯は冒険者が歩む速度に合わせた様に、街道沿いへお宿に土産屋……さらには旅に欠かせぬ物資を売り出す商店が並ぶ事で知られます。
それこそこの我らの様な一団は、正しくカネのなる木に違いありません。上手く言いくるめられれば、ウチは相次ぐ借金で野垂れ死にしてしまうね。なにせウチは借金がなる木しか持ち合わせてはいないのですから。
「ファッキン。この辺りから人目が増えるぜ。俺達はどうすりゃいい? 」
「問題ないアル。この
「凄いサリ! ノマさん、流石は商人の鏡サリ! さりげなく、サーリャ達の懐事情をこーりょしてくれてるサリ! 」
「そうだね、サーリャ。私達はお金には苦しむ冒険者だ。ノマさんの助言はありがたい所だよ。」
「出たね万年借金ぼうけ――」
「輩ネェさんは黙ってるといいよっ!! 」
「アタイが言うのはダメなのかいっ!? 」
ノマさんのありがたい助言にサーリャの自虐。うん、サーリャの自虐はマスコット可愛いので何でも許すけれど、その後の輩ネェさんのは頂けないね。
背後で私と精霊達との定番なやり取りに、ケタケタ笑い転げる生命種達を引き連れ、視界に映る夕闇と化した街道を仄かに照らす精霊光を見やる私。そのまさに直線上を見据えた私は――
「さあ皆、この道は行き止まりだ。他の道を行こう。」
と、唐突に訳の解らない発言を零して振り向き、我が家族達から怪訝な視線を送られたのですが……嫌な事に、その視界で捉えたくない現実を捉えてしまったのです。
直後、私が全否定したくなる様な声が、先に視界に入れた辺りから響く事となってしまうのでした。
「えっ!? あなたミーシャではありません事!? ミーシャ、なぜこの様な所へ……あなたてっきり、賢者見習いなんて夢を見ながら、まだアグネス界隈に入り浸っているものと――あいたっ! 」
「うん、聞こえないね。私には全くもってこれっぽっちも、あんな聞き覚えがある肉親の声なんて耳にも入らないよ。」
声の主は、オサレな裾の長い乾燥地帯の民族衣装に身を包み、ちょっと不安な目利きで手に入れたであろう怪しい装飾をこれでもかと身に纏う……少女。体躯も私から少しだけ大きく、そしてけしからん双丘にだけは栄養がたんまり行き渡った――少女。
「……まさか、ミーシャ。あれがあなたのおねえ――」
「聞こえないからねっ!? リーサ様も、人聞きの悪い事を言わないでくれるかいっ!? 」
大切な家族たるしーちゃんばかり残念とは言えない事に、残念な装飾と残念な目利き……そしておめかしで着込んだ長い衣服の裾を自分で踏んですっ転ぶ残念なほど痛ましい姿。
偽オサレ商人ことパフィリア・クロードリアその人が、私の眼前でまさに商人相手の交渉の最中だったのです。
て言うか、馬車に荷車の正体が秒で判明したよ。残念な事に。
そんな事態に
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