Act.3 始まりはカオスな一時と酔いどれから
昼時を告げる連星太陽が天空高く上るか否か。街道沿いの街へ緊張が走る。
遅れて食堂へ足を運んだ残る各メンツも、別団体を装いつつ嫌な汗にしかめっ面を
「……はぁ。この部隊は、もはや荒事を引き起こすは宿命じゃな。まさか同時に眼前で、二組それぞれ別案件で揉め事に絡まれるとは。」
「リド、お仲間な点はぼかさなあきまへんえ? 先に経た情報の
「分かっておるわい。全く面倒極まりないわ。」
浅黒い肌に銀髪耳長な、幼い少年の様で老齢な言い回しの男は
リド・エイブラとティティ・フロウの妖精夫婦はかつて、伝説の
「もう別行動とか言ってる場合ではないんじゃない? これすでに、いつものドタバタ騒動待ったなしよ? 」
「そうなの。すでに食堂店主さんが、皮肉にも気付きかけてるの。極秘作戦……早くも台無しなの。」
「て言うか、シフィエールさんが出た時点で詰んだ感じだわ(汗)。彼女の突っ込みはシリアスブレイカー発動の合図な感じだから。」
「あの子らしいと言うか……ほんっと、残念な精霊だ事。」
口にした通りの、展開していたであろう作戦が台無しとなった事で致し方なしと合流するは、これまた
純白と蒼の法衣に包まれ輝くブロンドの御髪を流し、少女を思わせるも実は少年である
神官男の娘のフレードと、メイドなガンナーのオリアナ……そしてオサレドワーフのペンネロッタは、共に
また――残念なトラブルで四六時中借金を抱える、困った冒険者でもあった。
状況はまさにカオス。定番のトラブルで一触即発な二人と、謎の勘違いによる一触即発な二人。一堂に会した
「あいやー、こんな真っ昼間から騒動とは……こちとら酒がまずくなるアル。まあまあここは私、マー・ロンに免じてそれぞれ矛を納めるネ――ひっく。」
歳は中年の
だが――
その様相から垣間見える得体の知れぬ雰囲気に、
同時に彼が名乗った事で嫌な汗を噴出させたのは、桃色髪が揺れる
「……まさかあれなのかい? 依頼上名を伏せてすでに潜伏していると言う差し金は。」
「特徴は……一致してるわねぇ~~(汗)。ミーシャ……ご愁傷様。」
「はぁ~~。またしても普通の協力者に出会えないとは……もう好きにするがいいよ、全く。」
それはこの旅に訪れる波乱の幕開けでもある。
事は施設宿泊からさらに数日
∫∫∫∫∫∫
このお宿がある街道沿いの村に着く前、アーレスの最南の街〈トラベルタ〉から全てが始まります。
先のアグネス王国へ向けたラブレスの先遣隊――あの
しかしアーレス国内のフェルデロンドを初めとした地では、積年のバスター行為が知れ渡っている事もあり、居心地の悪いの何のって。私達はアグネスが戦禍に巻き込まれるのを、未然に防いだすんげー部隊なんだよ?と喉まで出かけたね。
そんな中、フェルデロンドまで先に戻っていたサイザー皇子殿下。そこから王都〈アグザレスタ〉より優先的にトラベルタへ訪れた殿下の登場で、もはや嫌な予感待った無しではあったのですが。
「すまないな、ミシャリア。リーサを伴った旅が始まると言う中、またしても無碍に出来ない依頼が舞い込んだ。この書状を確認してくれるか? 」
「あぁ……(汗)。ええ、まあサイザー殿下がここに現れた時点で察してはいました。どうかお気遣いなさらず。で、これですね……ふむふむ――」
トラベルタの街外れ。皆がひとまずお宿へと足を向けた中、私とテンパロットに加え、今旅の主役でもあるリーサ様を引き連れ宿傍にある露天カフェへ集合。
そこで殿下が苦笑の元手渡して来た書状は、一般的に国家クラスに相当する機関の紋で封されたもの。それだけでも、皇子が馳せ参じざるを得なかったのは想像に難くはありませんでしたが。
「ティー・ワン
「ああ、そうだ。その
自警団の延長にあるその組織は、国家の規模が小国以下街以上の小さな地域を守る
そんな
しかし、そんな旧王朝滅亡から生き延びたのは正義の使者ばかりではない。言うなれば、先に私達が一度はオリアナがらみで剣を交えた
と、私が再びの難事到来で頭を抱えていた横から、黙して聞くに徹していたテンパロットが会話へ質問を加えて来ました。
「そいつは変だぜ?殿下。仮にもあのカクウは、かのアカツキロウの闇組織 ゴクドウらとも繋がりのある任侠集団だ。彼ら任侠集団は決してカタギには手を上げない事で知られる、闇を闇で払う用心棒みたいな集団だ。」
「ああ、オレもその点は認識済みだが……この封書も偽物と言う訳ではない。ならば依頼に応えるべきと、こちらでも対応したまでだ。」
旧王朝末裔からの依頼に暗部マフィアの不穏な動き。そこに来て今、真横で欠伸をブチかましてるリーサ様の
その締めとなるお言葉で、致し方なく覚悟を決める事となったのです。
「指し当たって今回の依頼では、すでに彼らの内情に探りを入れるべく、局からも調査人員が動いているらしい。つまりは今後、その人員と協力して事に当たって欲しいとの事だ。その局派遣人員の名は――」
その後私達の眼前に現れた酔いどれな中年男性が、まさかまさかのそれだったのでした。
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