第7話 カレー
本日の反省。
自己管理が出来ていないと隊長に怒られてしまった。
ここの所雨が続いていたので、体調を崩して風邪をひいてしまったのだ。
それで戦力外通告を受けた結果に、今日は通常の時間帯に食堂に行く事が出来たのだが、悲しい。
そして、やはりレーシャさんの姿が見当たらない。
こういう時に話をする相手がいると気が楽になるのだか、いないのなら仕方がなかった。
そう思ってカウンターに並ぶいると、厨房にいる料理長がわざわざ顔を覗かせて私へレーシャさんからの伝言、「今度会えたら、メニューに期待してて」を伝えてくれた。
次は何か新しいものでも考えているのかもしれない。
何人いるか分からないが、私はレーシャさんの料理の実験台に選ばれたらしい。
ちょっと楽しみが増えて、元気が出た気がした。
それはともかく、今日の料理はカレーというものだった。
あまりこの辺では見ない食べ物なのだが、前世のある私は知っている。
香辛料を混ぜ合わせてつくられたそれは、ご飯の上にかけて食べるのが私の国では通常の形だった。
だが、ここにはご飯がないどころかお米すら栽培されていないので、代わりを務める様に添えられているのがパンだった。
挑戦的なメニューなので希望者だけという形で、食堂を見回せば一応他のメニューを選んでいる人が多いようだった。
だが、それでも好奇心を抑えられなかったらしい何人かがカレーを選び、テーブルについては同僚などに感想を言い合っていた。
私は決して冒険的な性格でも、無謀な人間でもない。……が、カレーは懐かしいのでとても食べたかった。
メニューを頼んで食事をもらい席へと着けば、懐かしい匂いが鼻を刺激した。
空腹を刺激するこの匂いは、そう簡単には忘れられない。
カレーを選んだので、食器は今回は使わない。
私は食前の祈りを支え気た後、そえられたパンに手を伸ばす。
柔らかなパンを手ごろなサイズにちぎって、カレーをつけて食べる。
美味しかった。
一口大にきられた具材はどれも固すぎず柔らかすぎず、けれどよくカレーの味になじんでいる。
味に深みがあって単調でなく、よく手間がかけられている事が分かった。
一緒に入っているお肉はたぶん羊の肉だろう。
出回っている者は、クセのある羊の肉が多いのだが、カレーの味が良く作用して悪い部分を消し去っていた。
手を休めることなく食べ続けるのだが、長い間食べていなかったので失念していた。
「あ、早く洗濯しないと、落ちないかも」
カレーは服に付くとやっかいだと。
特に今日着ている白いシャツなどは大変なのだ。
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