第222話 ささいな報復

 翌朝、朝食を済ませると手早く準備を整えて、町を出るのだが。


 ガタン


「っ~~」


 ルンベルト地方は荒野が広がっていたが、クメニギス国内となるとほどほどに緑が生い茂る土地となっていた。そのため街道以外では馬車の通行は難しい。街道は簡単に土が均されている程度で小石を引いてしまうとその振動が直に来るため乗り心地は悪い。さらに言うと俺たちの馬車はかなりの速度を出しているため、不快感が顕著に現れる。一応はクッションなどで緩衝させてはいるがそれでも乗り心地が悪いのには変わりがない。たが、さすがに長距離を歩いて進むのは現実的ではないため馬を使わざるを得なかった。


「おい、着けられているぞ」


 まっすぐ東の街道を進んでいるとエナがそう告げる。後方の街道には姿がないため、おそらく少々わき道に逸れ、木や茂みといった物を使い尾行しているのだろう。馬車は街道以外を通るのは困難だが、馬だけの進行となるとそうでもない。やろうと思えば、森を横切ることもできる。


「へぇ」


 だがどう考えてもあの四人組の傭兵だろう。それ以外に追いかけられる敵に覚えもない。


 もちろん獣や魔物といった可能性もあるが、それなら長く尾行するのもおかしい。自身の把握している地形で襲撃を掛けるのが一番効果的なはずだ。


「これでもついてきてるのか」


 馬は一頭だが、この馬車は速さが出るように作られている。それに加えて荷物などはすべて『亜空庫』に仕舞っているおかげで人の体重以外の重さがない。これらの要因のおかげで馬一頭でも十分な速度を出すことができている。


「俺たちが狙いで間違いないか?」

「ああ、ただ別段脅威でもないから問題ない」


 追っ手の存在を把握しているなら撃退するのは容易とわかっているのでエナの言う通りそのまま先を急いだ。











 尾行に気付いてからもひたすら東に進む。途中で町や村があっても立ち寄らずに一直線で東を目指していく。その甲斐あってか、今日だけでかなりの距離が稼げていた。


 日が落ちて星と月のだけが空の灯りとなると、さすがに馬車を進める訳にもいかない。下手に暗い場所を走り、馬車や馬に何かあっては今後に影響が出るためだ。また周囲は鬱蒼とした森の中ではなく草原地帯なこともあり、今夜は街道を少し離れたところにある開けた場所で夜を越すことになる。


「はぐっ、う~ん、なんかこの辺りの獣ってあんまりおいしくないね」


 馬を休めるために野宿をするのだが、最低限の食料以外はすべて現地調達している。今食べている肉も近くの森にてエナが仕留めたウサギのだった。


「そうだな、故郷に比べると、肉の味が微妙だ」

「………同意だ」


 肉を焼いて塩とハーブを掛けて食べているのだが、三人には不評な模様。土地のごとにある獣の肉の繊維などが要因なのだろう。


「なんか、元気が出てきにくい味だね~」

(どんな感想だ)


 元気が出ない味とはいったいどういった味なのか。その表現だけでは危ないクスリを彷彿とさせてしまいそうだった。


「で、バアル、お前は何かしなくていいのか」

「んぁ?なにかするの?」


 エナはそう言うが、今の距離は町を出てから大体300キロは進んでいる位置だ。あと3日、早ければ明後日には無事に通信が可能となる。


「いや、まだもう少し進んだ場所でな」

「そうか………ま、それならそれでいい。今夜は気を付けろよ」


 そう言うとエナは馬車に乗り込み、横になる。馬車は最低限のスペースがあるが、それは精々が二人が寝転げるほどしかない。となれば必然的に馬車の中で眠るのは女性陣となる。


(今夜、か)


 エナが馬車に乗り込む際に発した言葉、これが何を指しているのか、理解できないのは三人の中でいなかった。


 食事を済ますと、俺とティタは簡易的なテントを二つ設置し、そのまま眠りにつく。もちろんイピリアに夜の見張り役にしてだ。


『やはり、こんな使い方しかされないのぅ』


 何やらイピリアが漏らしているが、気にせずテントにて寝息を立てる。


















〔~イピリア視点~〕


(はぁ~相変わらず精霊を変な使い方するのぅ)


 精霊とは魔力を媒介に様々な事象を起こす存在。本来は戦闘に重宝するはずなのじゃが、宿主バアルはユニークスキルや強力な魔具があることから戦闘で儂を使うことは全くない。


(いや、まあ、確かに儂も若いころはいろいろはっちゃけたから警戒するのもわかるが、もうすこし信用してくれてもいい気がするんじゃが)


 あのアルムという森王と契約している四体から何かを聞いたのか、バアルは少々警戒することになった。


(いや、確かにいろいろとやったが、アレは魔力が豊富な、あの土地だからじゃよ。バアルの魔力量では上位精霊といい勝負をできるかどうかわからんて)


 魔力の事を考えると、バアルがあの工房とやらでいろいろ何かをやっていたのを思い出す。


(しかし、あの膨大な魔力を全部使えれば精霊王にも勝てるかのぅ?)


 あの膨大な魔力があれば精霊王となった四体を同時に相手にしても問題ない気がしてしまう。


(じゃが、直接魔力を吸えるのはバアルからのみ。一応あそこから魔力を供給するすべを持ってはおるようだが、おそらくそれを儂にくれと言っても意味がないのであろうな)


 当然と言えば当然だが、もう少し優しさが欲しいとも思う。


(まぁよかろう、鱗も渡せたから次第に魔力質はさらに良くなっていくはずじゃ)


 あの場所に連れていくことができたおかげで、余分に魔力は吸い出せた。結果的に見ればかなり得をしたことになる。


(さすがに首を絞められるとは思わんかったが、おかげでどんな宿主なのか少しわかってきたわい)


 宿主バアルの思考は少し歪だ。人を見るときは性格や人柄などは見ず、絶対的に能力と実績しか見ていない。言い換えれば確たる証拠がある人物以外は信用すらしない。例えば騎士ならば何をしてきたのか、その個人が積み上げた手柄を見て、ようやく信用を置く。商人であればどのような商売をし、どのような利益を上げて、どのような人脈を作り出したのかなどを見てだ。他人から誰かを紹介されても、その人物に実績がなければ信用すらしない。バアルはそんな人物だった。


(それでいうと、儂はかなり信用されないのぅ)


 あの四体から過去の事を聞いているなら重宝はまずされないのが理解できてしまう。


(まぁ先は長い、ゆっくりと過ごすとし、ん?)


 周囲を監視していると、不自然に近づいてくる影が見える。


(こやつらは確か、あの酒場とやらであった人族じゃの)


 宿主の頼みでティタを警戒しながら空から俯瞰してみると、その四人に加えて、他にも20名ほどの人影が見えた。


(やれやれ、儂が対処してもよいが)


 バアルの元に近づく。


『おい、バアル起きるのじゃ、敵襲じゃぞ』


 ここは一つずつ信用を重ねるとしよう。









〔~バアル視点~〕


『おい、バアル起きるのじゃ、敵襲じゃぞ』


 イピリアの念話で意識が覚醒する。


(数は?)

『お主らをとこり囲むように20名近くがいるのぅ。ちなみにうち四名はあの傭兵じゃな』

(20か、かなり多くなったな)


 宿の件だけで見ればあの傭兵どもなのだが、それ以外が何者なのかが気になる。


(外見や服装はどのような形だった?)

『やたらと黒い布が多かったのでようわからんな』

(そうか)


 場所と人数を把握出来たらあとは問題ない。


「……敵か?」


 テントから出るとティタも起き上がる。


「まぁな」

「……二人も起こすか?」

「そうだな、うん、起こしてくれ」


 一人で何とかしようと思ったが、少し人数が多すぎる。今回は手分けをした方が早いだろう。


 俺とティタは馬車に乗り込むとエナとレオネも起こす。軽く現状を説明し、そして最後に一言だけ告げる。


「その不審人物たちが襲ってきたら容赦なく殺せ」

「え?」


 エナとティタは何も言わなかったが同意する。その中でレオネだけは反応した。


「レオネ?」

「本当に、殺すの?」

「ああ、殺す」


 俺が断言すると息をのむ音が聞こえる。現状をいくら知ってもさすがに殺すとなると少々厳しい物があるのだろう。


 そんなレオネの肩に手を置くエナ。


「お前は残っていろ」

「でも」

「お前にはまだ早い」


 エナの意見に同意見だ。戦いの経験はあるだろうが、明確な殺し合いには慣れていないのが見受けられた。そんな状態のレオネに無理に殺させるのは少々危険がある。


「……やる」

「やれるのか?」

「うん」


 レオネが覚悟を決めた表情をしている。そこまで覚悟を決めたのなら何も言うことはない。


「じゃあ、行くぞ」


 俺たちは馬車を見つからないように降りると傭兵が潜んでいるであろう森に音を立てずに入る。











(イピリア、今敵はどこにいる?)

『ちょっと待っておれ…ほれ』


 イピリアから上空から見下ろした映像が送られてくる。


(本当に便利だよな………あれか)


 イピリアからの映像には月明かりに照らされている不審者の姿が映っている。位置的に同じ平面上では気づかれにくいだろうが上空からなら丸わかりとなっている。


 今度はそれを三人に伝える。


 音を出さないように移動し、一番大きな集団の後ろを取る。空からの監視ができるのでばれずに背後を取るのは思ったよりも簡単だった。


「おい、本当にアレが大金を持っているのか?」

「ああ、間違いない。なにせマナレイ学院が大金を積んで買った奴隷どもだ。商人たちも高く買ってくれるだろうぜ」


 こちらが既に森に潜んでいるのがわかっていないのか背後にいると声が聞こえてくる。そのうちの一つはあの酒場で出会った大剣の男の声だった。


(なるほど、傭兵どもはエナ達が大金になると盗賊を唆したのか)


 傭兵どもは奪われた金貨を取り戻し、うっ憤を晴らせる。盗賊共は情報を得られて安全に大金に化ける奴隷を手に入れられることができるわけだ。


「いや、お前は疑うわけではないが、あの馬車を使っているんだろう?本当に金を持っているのか?」

「本当だって。知り合いにいろいろ探ってもらったらあいつら急いで学院に戻るらしい。そう考えればあの馬車を使っているのも納得だろう?」

「でもよ」

「それになあのガキは貴族のコネを使ったのか、町に入った調書には旅の中継の為、そして奴隷は護衛用としか書かれていなかった。ここであいつらをやっても問題ないさ」


 話の中でいくつか見逃せない点があった。


(門番も口が軽いな)


 調書はあの町を拠点にしている傭兵なら知り合いの門番に頼み込んで問題ない範囲で教えてくれるだろう。ギルドが個人の情報をそうそう漏らすなど普通なら考えられない。


(これは俺の存在が早めにバレそうだな)


 ギルドの情報管理が杜撰であれば、俺が既に獣人の元を離れているとすぐにわかってしまうだろう。


(早めに行動しよう)


 三人に念話を送り、合図する。


 まずはエナとレオネは共に動いてもらう。これはレオネに関して少しだけ不安があるからに他ならない。戦力を持ち、容赦なく殺せる二人とは違い、ためらってしまえば反撃される可能性があるからだ。


 なので実質は三人での行動と思っていたほうがいい。


 まず俺は動かずに一番大きな集団の背後を取り、左右に展開するようにティタとエナ・レオネをそれぞれ配置する。


(さて、始めるか)


 それからの行動は至極簡単だった。いつも通り『飛雷身』で一瞬のうちに敵の中心に移動し『放電スパーク』だけで基本的に相手は動かなくなる。


 そしてティタとエナについてだが、別段合図はいらない。なにせ雷の音は鳴り響くので、それが勝手に合図となってくれる。


「くっ、何が」


 意外なことにまだ起き上がってくる人物がいた。


「へぇ、さすがBランクだな」


 起き上がっていたのは四人、あの時の傭兵たちだった。


「普通の連中ならこれで沈むのだがな」

「はっ!なめてもらっちゃ困るぜ!俺たちはこそこそ逃げ回る盗賊とは違うんだよ」

「私たちは戦争と生業にしている傭兵です。こんなことにすら対策できてないのならBランクまで上がるわけがないでしょう」


 弓使いがそういうと弓を構える。


「おや、傭兵が一市民に危害を加えるのか?」

「ええ、それに貴方も悪いのですよ」

「だな」


 ショートソードの男もローブの男の前に立ち弓使いと大剣とで三角形を意識するように俺を囲う。


「さて、どうします?」

「さて、どうしようか」


 弓使いの言葉に返すと、その言葉がトリガーとなり、矢が放たれる。


「『天雷』」


 まず、弓使いに向かって腕を伸ばし『天雷』を放つ。矢を飲み込み雷はそのまま弓使いを飲み込もうとするが、弓使いの足元から土が盛り上がり、防がれる。


「はは!」

「ふっ!」


 大剣が大きく振りかぶり、振り下ろされる。大振りだったのでいくらでも打ち込めるほど隙だらけなのだが、反対側からショートソードが細かく攻撃を仕掛けており大剣に注意がむけない。


「『爆炎球フレイム』」


 今度は二人に当たらない角度で、炎の魔法が放たれる。さすがに喰らうわけにはいかないので、すぐさま『豪水壁ハイドロウォル』で防ぐのだが、そのすきを二人が見逃すはずもなく。


「死ねや!」


 大剣が横薙ぎに振るわれる。すぐさまバックステップで大剣の範囲から逃げるのだが、逃げた先でショートソードが剣を振り上げている。


 すぐさまバベルを盾にして剣を受け止めるのだが、その瞬間に視界の隅に弦を引いている弓使いが見える。


「マナレイ学院には戦闘実習はないようですね」


 その言葉と共に矢が放たれる。


「やるな」


 これは心からの称賛だった。もし俺が普通の人だったらこれでやられていたことだろう。だがそうはならない。


 弓使いから視線を外しローブの方角を見る。


「『飛雷身』」


「「「「!?」」」」


 一瞬光った後、突然消えたことに四人は驚いている。


「な、どこに」


 ブゥン


 大きく宙を裂く音が聞こえると、ローブ頭部が跳んでいく。


「え゛―――」


「弱い奴から叩くのは定石だな」


 行ったことはごく簡単、ローブの斜め後ろに『飛雷身』で飛び、そのまま首を刎ねた、ただこれだけだった。


 パクパクパk――


 すぐ横に転がっている首は何かを言おうとして何度か口を動かし、そのまま動かなくなる。


「さて、次は」

「なんだ、まだ終わってねぇのか」


「「「っ!?」」」


 森から出てきたのは返り血を浴びたエナだった。


「そっちは終わったのか?」

「ああ、さして強くもなかった。アレだったら戦士になりたての奴の方がまだましだな」


 傭兵の三人は信じられない物を見た顔になる。


「獣人と、会話、している」

「ん?ああ、そうか」


 俺は【念話】でエナ達と意思疎通ができているが、三人からしたら全く違う言語で会話をしていることに驚いているのだろう。


「それよりもレオネは?」

「呼んだ?」


 少し遅れてエナと同じ方向からレオネが現れる。その表情はいいとは言えなかった。


「なんなんだお前は」


 大剣使いが思わず口から言葉がこぼれ出てくる。


「俺は俺だ、『飛雷身』」


「「「!?」」」


 今度は弓使いの後ろに飛ぶ、そして同じように首を刎ねようとするのだが、取り出した短剣で防がれてしまう。おそらく先ほどのローブの姿を見て、勘だけで防いだのだろう。ただそれは運が良かっただけで、もう一度同じことをやれば殺せるのは明白だった。


「がはっ」


 ただそれは衝撃を防げたわけではなく、容赦なく吹き飛ばされていた。


「ほぉ、腐っても傭兵か」


 傭兵たちは一瞬だけ混乱したが、すぐさま状況を把握し行動する。戦場の心得という物なのだろう。


「………なんだ、まだ終わっていなかったのか」


 今度はエナとは反対方向からティタが現れる。


「遅かったなティタ」

「……あいつら面白い物を使っていてな、それで遅れた」


 ティタも現れたことにより質はもちろん、数の優位も完全に傾いた。


「っち、おい、アレをやるぞ」

「だが」

「仕方ない、赤字だが、死ぬよりましだろう」


 大剣が腰のポーチから何かを取り出す。


 取り出されたのは黒色に染まっている丸薬だった。


「仕方ない」


 弓使いも同じ丸薬を取り出し、口に含む。


(さて、何をしてくるのか)


 このタイミングでただの薬を食べるなんてことはしないはずだ。


「ふっ、『追矢』『速射』」


 弓使いは何かしらのアーツを使用し、矢継ぎ早に矢を放つ。


「なんだ、これ?」


 エナに向けられた矢だが、そこまで早さもなく、威力もない。エナが軽やかに横に躱したと誰もが思ったその時


 ギュン!!


「!?へぇ、面白い」


 矢は不自然な動きをし、エナを追尾し始める。


「んじゃぁ、行くぜ『ソードラッシュ』」


 大剣の男が何かのアーツを発動させる。


「おらぁ!!」


 大剣はティタに向かって駆け出し斬りかかる。


 ギィン


「……」

「ちっ、余裕そうだな!!」


 ティタは腕の一部だけ【獣化】させると大剣を撫でるようにしていなす。ただ大剣男は一度だけで終わらず、何度も何度も連撃を行う。アーツの効果も相まってか、ティタは少しずつ後ろに下がっていく。


「『フォインレイ』」

「わっと、こっちに来るの?」


 今度はショートソードの男がアーツを使うとレオネを狙い始めた。ショートソードの男は攻撃範囲外にもかかわらず、半身になり突きの構えをする。


「???こないの?」

「ふっ」


 レオネが疑問に思っていると宙に向かって何度も突きを放つ。そんな行動したのは理由があった。


 一度突きを行うと剣が纏っている魔力がそのままレオネに向かって飛んでいく。


 レオネが軽く避けるが、その残光はレオネの後ろにある樹々まで届き、穴をあける。これらの行動からあのアーツは刺突を剣の範囲外まで飛ばすものだと分かった。


「ほぉ~すっご~い」

「っふ」


 それからショートソードで何度も宙を突きレオネに向かって何重もの刺突を飛ばす。


(あのアーツは初めて見るな。やはりBランクともなればそれなりの手札を持っているか)


 俺の相手がいないことで静かに観戦することができていた。


『なんじゃ、手伝ってやらんのか?』


 彼らは何も命を賭けてエナ達を殺そうとしているのではない。彼らの目的は逃亡だ。証拠に背後に森があるエナ達に向かって突撃して行った。エナ達に向かっていったのはあわよくば行きがけに殺せると踏んだためだろう。もしそれがだめでも怪我だけさせられれば、追っ手に来る確率も減る。


 また三方向に散ったのは生き残るための選択だろう。4対3という状況下で3方向に散れば1対1、1対1、2対1となるため、二人は生存確率が増す。


 だが、俺はそれを何もせずに見守る。


(ああ、エナ達が人族にどれだけ戦えるかを見たい)


 傭兵、それもBランクともなれば戦場ではエース級の戦力と言っていい。そんな奴らを相手にどれだけ相手にできるか見ものだった。

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