36話 【お化け屋敷】


颯太side


少しでも距離を縮めたい。

教室に帰りながらどう誘おうか考えている間3階がなにやら賑わっている。


「あーもうほんとに怖かった。。」

「お前めちゃくちゃびびってたよな」


すれ違う先輩同士のカップルであろう人達は互いに感想を言い合っている。なるほど、お化け屋敷か。いい案かもしれない。早速誘いに。。俺の足は3年生への階へと進んだ




愛羅side


泣きじゃく桃から離れ、見回りをしているとコスプレ(?)をしている悠燈くんを見つけた。


「悠燈くんだ。やほ」

「あっ、こんにちは!」

「宣伝??」

「そうです。もしよかったらお化け屋敷入っていきませんか??あ、凌央ー」


看板を持ちながらそういう悠燈くん。

最高に可愛い。してる格好の先生ぽいのがやけに目につくがまぁいいだろう。でもさすがに1人で入るのには抵抗がある。苦手という訳でもないけど、こういうのって何人かで入ってキャッキャしながら行くのが楽しいわけで、、後で桃と果歩を連れて行こうとしたがそれも叶わず、悠燈くんは少し遠くにいる凌央くんに声をかけ一緒に行ってくださいと背中を押された。


「えーと。。」

「すみません。多分悠燈なりの気遣いだったの思うんです。お化け屋敷とか苦手ですか?」

「別に、大丈夫。凌央くんは?」

「俺も大丈夫です。」

「なら面白みないかもね(笑)」

「そうかもですね(笑)」


そうは言ったものの、クオリティーが高い。

これは少し怖いかも。。ゆっくりだが、2人で歩き進めた


「怖かったら言ってくださいね。おんぶしてゴールまで連れてくので」

「え?無理だよ」

「出来ますよ?先輩をおんぶするくらいの力はあります。今やりましょうか?(笑)」

「すぐそうやって、から…っ!!!」


見事に突然に来た後輩にびっくりし、腰を抜かした。こわ。。後輩こわ。。


「大丈夫ですか?」

「ごめん。。腰抜かした…」

「え」


驚くことか?と思ったがそれもそっか最初の方に“怖くない“と言ってしまった人間が腰を抜かしているんだもんな。。


「立てること出来ますか?」

「無理です…」

「んじゃ、嫌かもしれませんけどおぶります。ゴール前に降ろせば先輩も他の人にバレずにいいですよね?」

「うん。ごめんね…」

「いいですよ。失礼しますね」


数回謝ると、まるで1年前の俺と先輩が逆になったようですね。と言いながら乗ってくださいと背を私に向けてくれた。重いよ?浴衣も着てるしと言うと、少しぐらいは信じてくださいよと苦笑いされた。




おんぶなんて、何年ぶりだろう。

さっきまで数cm空いていた距離が今0cmへと縮まる。恥ずかしい…揺れている安心感が心地よくてもう少しで寝れそうとなった時に


「着きましたよ」


と言われた。


「ありがとう。」

「もう治りました?」

「さっきよりはだいぶ」

「良かったです。あ、降ろしますね」


優しく降ろす凌央くん。

まだ乗っていたいと言う気持ちを抑え私は降りた。




ゴール前と言っても割と道はあるもので、しばらく歩いていると


「最後くらい手繋いで出ましょう」


と、言ってくれた。

嬉しいけど恥ずかしい。でも最後ぐらいは怖さのドキドキよりも君へドキドキしたい気持ちが強く


「うん」


優しく包み込んでくれるように手を繋いでくれた。というかよくみたけど、凌央くん…コスプレがドラキュラって…死にそう

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