31話 【前夜祭】
あれから数日が経ち、死ぬほど練習した着付けはお点前は完璧になるほど出来ていた。
そして、現在前夜祭を迎えている。花火の打ち上げに時間がかかるらしく、皆楽しみにしてた顔が一気に不満げになった。
「ねぇー知ってる?」
「うちの学校って、花火上げる時に好きな人と手を繋いだら両思いになれるんだって〜!」
誰かがそういった。
所謂都市伝説みたいなものだろう。いや、学校伝説?噂?まぁ、どっちでもいい。所詮そんなもの誰かが流した嘘である。信じた方が負け、第一好きな人と手を繋ぐって…
ふと横を見ると、ついさっきまでいた友達は消えていた。どこに行ったんだろうとLINEを見ると、『あんたの好きな人に場所変わってくださいって言われたから変わっといた。』『近くで見守っとくね』とのこと。あの野郎。。そんなことしなくていいのに
バーン
「あ、花火」
大きな音とともに、空には満開の花が咲く。とても綺麗で、思わず
「すご…」
「ですね。先輩」
と、言ってしまった。
隣には凌央くんがいるとは知らず、驚くとびっくりし、向こうは笑う。驚きすぎですよ(笑)と言うが、そりゃびっくりするであろう。さっきの噂をきいたばっかで、さりげなく手繋いでいるんだから。
「なんで、手繋いでるの?」
「え、ダメですか?」
「噂になると思うけど」
「俺はいいですよ。先輩と付き合いたいですし。あ、でも先輩は嫌か。んー。」
ブンブン振りながら考える凌央くん。
そうしてるうちにも花火はクライマックスに向かっていく。幸い、見ている位置が1番後ろだったのが良かった。誰にもバレていない。譲った友達でさえも花火に夢中である
「まぁその時はその時で」
「それありなの??」
「ほらー花火見ましょうよ綺麗ですよ」
確かにそうだ、花火を学校で見れることなんて早々にない。今は楽しもう。人生で初めて好きな人とみた花火は儚くも綺麗で思い出に残った。
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