29話 【君の浴衣姿】


あっという間の放課後。

茶道室の鍵を持って1人向かう。桃は進路の話で担任に捕まり、果歩は学祭の司会進行の仕事をやるため今日は来ないとのこと。茶道室の横が生徒会室だから休憩がてら行くね とも言ってた記憶。どの道今日は3年は少ない。みんな進路関係が多く関わっているためAOで行った私は暇人なのである。1、2年生は浴衣を来たことが無いから着せてあげないと。そう思いながら鍵を開けた。


「あっつ…着替えるかぁ。あ、」


ドアに張り紙で、ただいま浴衣を着ています。

男子は水屋に、女子はノックして入ってきてくださいと書いたものを掲示した。これで準備は完了だ。


戻ってきて、浴衣の入った袋を手に取る。

久しぶりに見たこの柄…10分も経たないうちに着れたのは昨日母親と練習したからであろう。


「我ながら上手くできた。下駄はいて歩く練習しようかな。皆来ないし」


襖をあけ、下駄を用意し廊下に出るタイミングで、ぶつかった。誰よいきなり来たのは


「あ、ごめんなさい…」

「いえ、こちらこそ。え、先輩」

「なんだ、凌央くんか。あ、悠燈くんも居る。こんにちは」

「こんにちは」

「浴衣着てたんですね」

「うん。今日は浴衣着て部活やるから2人とも着れたら着て下駄で歩く練習を廊下使ってやるからおいで。あ、下駄だけ履いて練習でもいいか」


1人悩やみながらそう言うと、2人ともまだ着方が分からないのでと言って下駄だけ履いて歩く練習しますねと言った。あとで、着付けをしてあげて、水屋棚もやらなくては…やることが多すぎる。。下駄を履いた2人が来た為歩く練習を始めた



一通り歩いていると、1年の男子

唯我颯太ゆいがそうたが来た。


「あ、颯太くん。下駄持ってきた?」

「持ってきました。履いて歩く練習した方がいいですか?」

「うん。一周したら帰ってきて。浴衣の着付けやるから」

「分かりました」


返事をしたことを確認し、私と凌央くん、悠燈くんは茶道室に戻った。


「んじゃ、浴衣の着付けやろっか」

「先輩男子の着付けできるんですか?

「出来るわ‪w‪w従兄弟の着付けは私がやってるから。ジャージの下履いたら教えて」

「分かりました!」


そう、私は従兄弟の着付けをしているため男子の着付けには慣れている。ただ、いとこはまだ、幼い。今日着付けるのは一個下である話が違う。流石に下を履いてもらわないと。。畳の上で座って待っていると、終わりましたーと声をかけられた。


「んじゃあ、着付けていくね。

どっちから行く?」

「悠燈から」

「凌央からで」

「んんwwどっちからするか決めて‪w」

「悠燈いきなよ」

「いやそこは凌央からでしょ」

「はー?なんで」


一向に決まらない話をひたすらしている2人。

もういいや。。


「分かった。いっぺんにやる。浴衣出して」

「!?分かりました」


1人やるのもふたりやるのも変わらない。それなら一気にやった方がいい。私はそう決意するととりかかった。




30分後。


「できた。。」

「おお!!凄いです、!」

「すみません。お疲れ様です先輩」

「なんも、うん。2人とも似合ってる」


割と上手くいった。

これを1人で出来るようにするのと、颯太くんにも教えてあげてねというと、私は水屋から出る。いいタイミングで、颯太くんは来た。それに茉心ちゃん望歌ちゃんも。2人に着付けやるよーといい、襖をあけて入った





in水屋


「…。。あれはずりぃ」

「凌央よく顔に出なかったね」

「それ自分でも思う。似合ってんのは先輩の方なのに」

「凌央…それ直接言ったら?」

「言えねぇよ」

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