22話 【君の誕生日】


「うう。。緊張する…」


朝の電車はいつもより少し人が少ないような気がした。今日から私の学年は修学旅行のためほとんどがいない。桃もそのうちの一人で部活は頼んだ!!と果歩と一緒にいる時に言われた。別にやることは特にないけど…ふと視線は手に持っている茶色の袋。中には綺麗にラッピングしたプレゼントが入っている。そう、今日はあの子の誕生日。この日のために頑張って選んだんだ…喜んでもらえるかは分からないけど。


日付が変わった時におめでとう!と言っといたLINEの返信はまだ来ていない。寝てるのかな??と1人考えていた


「愛羅おはよー。お?それは」

「果歩おはよ。うんそうです。。」

「ええ頑張れ!!」

「ついてきてよ!?!?」

「あはは‪w‪w分かったよ」


何も言わなくても分かる果歩はこちらを見て今日は決戦の日だね。と呟いた。決戦の日か。。確かにそうかもしれない、あの階に行くのだけでも戦いだと言うのにクラスに行く…しんどい。。でも、喜んだ顔を見たいから買ったんだよなと1人回想シーンに戻る。どんどん学校は近くなっていく中私の気持ちは真逆に遠くなっていた。






「うえええ気持ち悪い…」

「恋する乙女だね」

「その言い方やめて。。」

「えー?だってそうじゃん。てか待ち合わせ時間何時よ」

「8時半」

「もうなるよ?行こう?」

「え、嘘!?」


果歩に言われるまで気づかなかったが私相当緊張してたんだな、学校に着いてからもう30分が経とうとしているなんて。。やばすぎる。ってこんなことはどうでもいい、プレゼントをもって1個上の階である2年生の階に足を進ませた





ガヤガヤ


「人が多い…」

「多いねー。凌央くんいる?」

「まだ来てないっぽい」

「そか。んじゃあ待ってよう」


元気におはようと言う声や、なにか楽しいことがあったのか笑ってる声が廊下中には響き渡る。今の私の心とは真逆のように。


「_凌央!!誕生日おめでとう!」


誰かが言った。

本日の主役凌央くんが来たのだ。照れくさそうにありがとうと言うと靴を変えに下駄箱のところに行く。今だいくなら


「凌央くんっ!」

「愛羅先輩」

「えっとこれ…誕生日おめでとう!」

「…っ。ありがとうございます」

「素敵な一日を過ごして!」

「はい。そうします。…あ」



プレゼントを渡せたそれだけで嬉しくて私はすぐ果歩の元に戻った。渡せたことを伝えると、頑張ったねと優しく撫でてくれた果歩は私の姉か?と思うぐらい心地よかった。


「凌央くんおめでとう〜部活頑張ろうね」

「果歩先輩、ありがとうございます!はい頑張りましょう」


手を振りながらいう果歩にそれに答えるかのように同じく手を振る凌央くん。私達はそれを見るとそろそろ時間だねと言いながら自分たちの階に戻った。



「凌央誕プレ?先輩から?」

「うん」

「何嬉しくねぇのかよ」

「いや、俺のために選んでくれたって思ったらなんかニヤけが…」

「よく顔に出なかったよね」

「悠燈うるさい」

「え!?!?」

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