16話 【少しの勇気】


「眠い」


桃とバカ騒ぎしたのが数日前。

もう春休みに入っている所だ。行きたい専門学校の体験入学に行くため着替える。12時に着けばいいから少しだけ配信をしよう、暇だし。配信アプリを開き、【バスが来るまで】とツイートし配信を始めた。




《初見様いらっしゃいませー。って‪w‪w桃‪w》

〈やっほー!!早いねー起きるの〉


配信して10分が立った頃来たのは桃だった。

文からして分かるのはきっと起きたばっかりということ。寝起きに私の声は可哀想。まぁ来てくれたことには感謝をしないとなと思った。


たわいもない話をしていく。個チャで話せよという話も多くやった。


〈あ、そういえばね〉

《ん?》

〈凌央くん、勉強嫌いらしい〉

《急だなw‪wそうなんだ》


桃からの突然の凌央くん情報に戸惑いながらこの日の配信は終わった。








「ありがとうございましたー。」


2時間の体験入学を終えた私。

家に帰るため専門学校を出り、最寄りまで歩く。今日は散歩日和なぐらいに暖かい。そう思っているのは私だけではないようでいつもより人が多い気がする。


「でさー」


たまたますれ違ったカップルらしき人々の会話が耳に入った。



「そう言えば、お前の誕生日って今月だったよな?」

「そうだよー覚えててくれたの、?」


誕生日を覚えててくれたのが嬉しかったのか彼女らしい人は彼氏らしい人に抱きついていた。よく公共の場でイチャイチャ出来るな。末永くどうぞお幸せにと思いながらも、心の中ではくたばれよと思っている私もいる。


「誕生日か、そういえば聞いてなかったかも。聞いてみようかな」


少しウザかったが、カップルに感謝し凌央くんとのトーク画面を表示する。



「ふぅ。。緊張する、、よし」


勇気を出し、キーボードで打った内容を確認し送信した。



『そう言えば、凌央くん誕生日いつ?』

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