12話 【帰り道】


よほど顔に出ていたのであろう。

桃に、そんなにニコニコしてなにかあった?と聞かれた。まだ言っていないから言うのもあれだなと思い、


「うんん。なんでもないよ、少し思い出し笑いしただけ」


と、プレゼントを机の中に入れる。

怪しくなかったかなと思いながら桃の顔を見ると、そっか!と笑ってくれた。ごめんね桃、今度ちゃんと言うから。





その日の放課後は地獄のように忙しく、帰るのは19時半過ぎ。一般生徒は帰ってるのはもちろんのこと部活の生徒でさえ帰っていた。生徒会であるメンバーも何人か帰っている。

残っているのは、果歩と結愛ぐらい。


「ァァァァァァやっと終わった!」

「愛羅先輩、お疲れ様です!!」

「愛羅、頑張ったねー!お疲れ様」

「ううう。。2人ともありがとう、」


山のように出された仕事がやっと終わりが見えた。あとは保存をするだけ、忘れないように何回も上書き保存を押す。


「よし、帰ろう。ごめんね2人とも」

「なんもいいよ」

「全然です!、むしろ先輩に全部やらせてしまってすみません…」


笑って大丈夫だよと言ったかもう正直体は限界を超えていた。家に帰って即寝たいただそれだけ。USBを先生に渡し、コートをきて外に出る。さすが真冬である、とても寒い。風邪をひきそうだ


「あれ、凌央くんじゃない?」

「え?」

「凌央くん?誰ですかそれ」

「あ、、私の好きな人です。。誰にも言わないでね」

「ひえええええ!!先輩が恋する乙女っ!!」

「し!!結愛煩い!」


私が恋するのが珍しいのかどうか知らないけど結愛はすごく興奮している。やめて本人にばれたら終わるから


「まぁいいから声掛けようよ」


果歩のその一言に全員が納得した。

まぁそうだよね、このくそ寒い中いるんだから何かしら言いたいことがあるのかもしれない。私達は凌央くんの近くに行くことにした


「凌央くん、こんなところで何してるの?」

「愛羅先輩。果歩先輩、えっと。。」

「あ、龍我です」

「龍我さん。…皆さんこんばんは」


私たちに気づくとご丁寧に挨拶をしてくれた

礼儀正しい子である。いや今はそれはどうでもいい、なんでこの時間までいるのかって話


「誰か待ってるの?」

「はい」

「へぇ、誰?私たちで最後だったからもう誰もいないと思うけど」

「知っています。でも、もう来たので大丈夫です」

「そうなんだ、良かったね。ん?」

「まさか、、」

「あー。そういう事ね、結愛今日は2人で帰ろっか」

「はい、そうですね。愛羅先輩お疲れ様でしたー!」


果歩と結愛は2人声を揃えて行ってしまった。え、どういうこと、はい!?!?!?理解が出来ないんだけど。。



「…」

「…」


沈黙が続く

先に破ったのは凌央くんの方で


「先輩、一緒に帰りませんか?」

「え、私と帰るためにこの時間までいたの!?このクソ寒い中で!?」

「そうです。…ちょっと話したいことがあったので」

「ええ。、風邪ひくよ…話したいこと?」

「はい。まずは歩きましょう、もう夜遅いですからバスないんじゃないですか?」

「よ、よくご存知で…」


前に言ってたのを思い出しただけです。といっていたがそんなこと言ったけ?と頭を悩ませる。それにしても一緒に帰ってる。それが私にとっては凄く貴重でそれだけでも嬉しかった。

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