中枢への到着

「今、どのくらい進んだんだ?」

「そうですね。 大体半分位は進んだでしょう。」

「そうだぞ!!目の前にでけぇのが見えるじゃないか!!」

「そういうことではないでしょうに ここの崩壊が半分位だという話だろうに

バカ犬」

「なんだとぉお!!!」


元凶の4体がそんなことを話しながら城に向かい歩いていた。

周りはもう血で黒ずむ地面と、倒壊による砂煙、悲鳴と呻きに鳴き声などのとても凄まじい状況が広がっていた。

その中をこともなさげに歩く行為に、無関心とも無慈悲だとも思わせる。

そんな中でこの惨状の街の中枢である城では、これからのこと話し合っていた。

逃げようにも逃げられず、苦肉の策で城門を閉じることで時間を稼いでいた。

それもあとどのくらい持つのかわからないが。


「どうにかするのだ!!」

「それを考えるのだろう!!」

「なんらかの意見があるのだろう!! 早う申すのだ!!!」

「貴殿こそいい案があるのだろう!!!」

「いやそれよりも聖教会はどうしたのだ!!奴等の仕事だろう!!」

「救援要請を送ったが連絡がないのだ!!!」

「やられたのか!!!」

「その可能性が高いだろう......」

紛糾する会議場であるが、そのものの中に他を助けようとも平民を惜しむ声もなく、ただ己が助かる事だけを考えここにいる腹が出ているものだけが集まっている。

終わる事のないであろうことを侵略が始まってから続けていたのだ。なんて無駄な時間を使っているのか、そのことを思い至るものはここに存在していない。

醜い欲望の獣だけがここにいる。



一方城門のすぐそばでは逃げてきた民を囲いアンデットを駆逐している戦士達が居た。 その身体には傷をいくつも作り、つけていた鎧を汚し凹ませながらももう1時間も守りぬいていた。

もうここにいるもの以外に生き残りが居ないことをみな悟っている現状であり、逃げるための道もない、貴族のお偉いあほ共はただ籠っているだけで何もしない。

そんな絶望的な状況を支えているのはこの都市の副騎士団長であった。

20代の若さでこの地位まで上り詰めたが、最近は貴族の傲慢さと民を蔑ろにする態度に嫌気がさしておりそろそろ隊を抜けることを考えていた所にこの絶望である。

可哀相に、もう少し早くに行動していればここにいなかったのに。

生き延びた民からすれば幸運かもしれないが、この後はどうなるのだろうか?


そんな戦士の眼に道を進み悠然と近づいてきている存在が確認できた。

この後の結末を描いた存在達の歩みが刻々と、迫っている。

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