墓なく散る

城門前は叫喚の嵐となっている。

「いやー!」「きゃぁああ!!」

「死にたくない死にたくないしにたくなぁああああ!!!!」


そんな生きた者を囲む死体たち、アンデットと分かったもなかなかに苦戦している。

多いのはもちろんだがそれ以上に同じ町の者で顔見知り、そして先に散っていった者を誰が一切の躊躇なく切れるのか。


そんななかにあっても

市民を守っている戦士たちはなんと立派なのか尊いのか


引きこもって無駄なことをしている上とは雲泥の差である。



そんな儚い頑張りも無常にも終わりを告げる。

「ははは!!無駄無駄無駄!!!」

目の前にマーナが現れる そして 落ちる。


一瞬のうちに血の広場が出来上がる。

原型などなくそこは血と肉片が広がる場所が出来上がった。

巻き添えにアンデットも合うがもともとは敵 関係ない。


次いでマーナが風の揺らめきもなく消えると

城の中に現れる。


「重力には空間を捻じ曲げるほどの力がある!!

まずは入口!!!」


城を覆うように黒い何かが生まれ消えるとそこが消えた。


「入ったら!!出るしかないよなぁ!!」


上にまたも黒いものが生まれるとそこに消えた城がある。

そして地面に向かい落ちる。


轟音と悲鳴を伴いながら




崩壊の音を醸し出すとそこには砂煙と瓦礫に押しつぶされる元生き物たち


「はーははは!! これが重力の力だー!!!」


その様子を後ろから見る主従一行はというと

「うん 先にとられたな」

「まったくもってしてやられましたなぁ」

「バカ犬に先を越されるとはわっちとしたことが…」



「まぁいい 仕上げといこう

やはり しっかりと最後まで刻んでやらないとな」


ラーフは背に円月を背負うと餓鬼を抜き上段に構えると消える。

消えた後に空気を裂く音と風が追う。

その様子に気付き焦る従者3体はすぐさまにそこから離れ街を出た場所に逃げた。



そして


<月匣嵐>



紅い斬撃が街を囲みその中を刻む



外から見ると紅い竜巻のようなそれはラーフを中心に表れていた。

斬撃が尽きた時、円形に斬撃痕が血を削っていた。


地の中心に降り立ったラーフは満足そうに見渡していた。

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