鬼人の歩み

ラーフは周囲の気配を探知していた

「そこそこ多いな」

「そうですね。少し時間が掛かりすぎますね。

どういたします。」

「紅気で試したいことがあるから俺だけでやる」

そう言うや

背に円環を準備した

そして普段は体に吸収する気を、円環に集め凝縮する

すると背を覆う程度の円環が大きくなり太陽をいや、太陽に浸食された月、月食を表すかのように深紅に円の中が染まる。


<執月>

そう名付けられた力はラーフの頭を中心に、背に大きく広がり赤い月を背負っているように幻想させる。

「浸食せよ、侵し尽くせ、呑みこめ、執行」

ラーフの言葉が続き 背の紅気が空に回転しながら飛んでいき中心部まで飛ぶとそこで止まり、広がる

街を飲み込むほどに広がり、街に深紅の空が出来上がった。

そこで回転が止まるとラーフが餓鬼を鞘ごと地面に尽きてて

<月食>

深紅の空が落ちてきて、すべてを呑みこみながら下に落ちる

執月が通った後には何も残らず浸食されていた。


街の住民は突然のことに驚き逃げ惑うも遅すぎた。

その身体は毛の1本まで残らず呑まれていく

血も落ちず、身も残らない


遠目に眺めていたブラドたちはその様子にうすら寒いものを感じていた。

そしてこの技の名前の意味を聞かずして理解できた。

=赤い月が食事をしているようだと=



全てがなくなり荒野になった周辺はいまだに深紅に染められていた

それはラーフが餓鬼を地面にもう一度突き立て直した途端に餓鬼に食べられていく


「これですぐに次に迎えるな」

ブラドがラーフの影から手を後ろに組み現れる

「それでこそ我が主に相応しいというものです。

さてでは更なる力の理解と修業のために潜りましょう。」

「いや待て!まだすべてが終わったわけでは・・」

「時間の方はお気になさらずともダイジョブですよ。

先に2名ほど始めておりますのでラーフ様も行きましょう。」

影に落ちるように消える2体の去った後には土の地面が円形に広がる場所が出来上がっていた。






のちに冒険者が元街があった場所に戻ってきたがその異様な円に疑問と残る残滓に恐怖を抱き急ぎ王都の冒険者ギルドの本部に駆けこむことになる。

ラーフが呑み込んだ夜のことであった。

そのころまだブラドに扱かれ続けていた一行は、各地より人の強者が集められていることをまだ知らない。

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