人との邂逅 出来上がる風格

ここは森より2日ほど先にある人間の住む辺境の街である。

ここでは、主に食料となる野菜、牛などの肉を育てて国に税として渡している。

そしてここは、森から出てきた魔物や周辺に巣を作る虫型や獣の魔物に襲われやすい場所でもあった。


そしてそんな場所にいるのは、冒険者と呼ばれる魔物を狩ることを生業にしている者達。

ギルドと呼ばれている集会場にて、その日の獲物を決めて狩り、金銭を稼ぐのだ。

この地はそんな者達にとって危険で、実力がないとすぐに死んでしまうとのこと。

危険な魔物ほど高い報酬とその恩恵を受けられる。そのためか、入ったばかりの初心者はそこを目指し、死ぬか、引退するかの2択を身に刻むものが少なくない。










あの森は魔の森といわれ奥に進めば進むだけ

魔物が強く、凶暴になると言われている。

その中で理性を持つ魔物は、規格外の力を持ち

理性を持ちながらそれぞれの力、特性を持つものは異常で異端で凶悪なんだといわれている。


その力の凶悪さ被害の大きさなどから魔物の頂点である魔王種と呼ばれている。

これに対抗できるのは同じような頂点にいる同種か、種族進化の果てにあると言われている極みの種まで進化した極級ではないと対抗するのも難しいという言い伝えだ。実際に極級にたどり着いたものは少数である。

至るものには何かしらの条件が必要なようで最上位種にまで上がるも至ることが出来なかったという話の方がおおいくらいだ。

その条件とは?意思なのか、力なのか、何かの物が必要なのかそれはわかっていない。人の中でも至ることができた者はいたが、その出自はバラバラ、目的も何もかも共通する部分がなかったのだそうだ。


その中で漏らしていたことがある。

意味がなくてはいけない。自分という存在に対しての意味がそれが至るための唯一の条件であり、絶対なのだ。

何をなすのか、何を目指すのかそれが大事であり、己を表すことにつながる。


これはいったい何のことを話していたのかはまだ分かっていない。

さて、進化とは強くするに必要なことだ。

そして自分を高めることを求めるものが進化しやすいと聞く。

レベルを上げるのも大変な作業であるが、それでも力を求める者が後を絶たないのは仕方がないことなのだろう。


何を願うのか 何を決意するのか 何を追求するのかそこが大切であり、絶対なのだと私は思っている。






「人間もなかなかの人物がいるものですねぇ。

私でもそこまで考えつくのに100年近くは必要としたのですが。

さてでは我が主、魔王となる方をお出迎えしなければ。」

ブラドは読んでいた本を机に置き影に潜る

その後には倒れている人間の死体だらけ

だが、死んだ者にある切り傷から血が出ていないのだ

床もきれいなもので、寝ているのかというほどの状態で肉の塊がこれがっていた。

ここは図書館、ある限りの情報を貯め伝えるための場所

そこにあったはずの本がすべて棚にはなく机の上に高く重なっていた。










「お待ちしておりました。

情報の方は恙無く得ております。

この街にいるもので我らの敵となりえる者は存在しておりません。

ただの蹂躙になってしまいますね。」

「そうだな あとブラド音もなくいきなり出てくるのはやめくれないか?

ついつい切ってしまいそうだ。」

「それはそれは、鍛錬が足りませんね。

気を極めるのであれば多少の些末も感知できるようにならなくてはなりません。

あとでまた、修業を致しましょう。もちろん私の影世界で行うので時間も何も気にしなくとも大丈夫です。

楽しみですね。

次はどこまで私の力に昇ってくるのか、楽しみでしょうがないですねぇえ!」

なぜか楽しく興奮しているブラドとそれを観る弟子3体

ブラドは興奮により意気が上がるが、弟子組は意気が下がるのであった。

その顔を引きつらせながら青ざめる様が、ありありとその厳しさを物語っている。




「おい!魔物だ!!魔物が街に来やがった!!!!」

少し先にいた街の門を守っている衛兵が声を上げ知らせる。




「おいおいおい!!!続々と出てきやがったぜ!!!!

あれを殺していいんだよなぁあああ!!!!」

「そうですよ

なんでそんなに興奮しているのですか・・・

あんな雑魚集団だと 練習にもならないだろうしさっさと終わらせましょう」

「それでは、それぞれ好きなよう蹂躙しましょう。

主は・・・主?」



ラーフは人間が増えてくるころ合いから目線が鋭くなりその身から紅気が漏れ出て背に円環が出来上がっていた。そこから更に気を集め体の中で凝縮していき、質の高い気を練っていた。その手に餓鬼を持ち、前傾姿勢になったと思ったら門の前に姿が移動していた。


「さて、我が同胞の仇を取らせてもらおう

貴様らのすべての命でな・・・」


その言葉を聞き怒鳴り散らす人間を横眼に餓鬼を抜き紅気を吸わせる


<王道>

餓鬼を振り上げた瞬間ラーフの目の前に紅気に彩られた道が出来た

しかも一瞬のうちにである

その場所にいた者は道に吸い込まれ死んでいった。

残るのは絨毯のような紅気の道だけ、ラーフは餓鬼を鞘に戻し

道を歩き中心に向かっていく




「ありゃあなんだ?

ものすごく恐ろしいんだが・・・」

「そうですね。ここまでの気を感じるまで高めていらっしゃるとはさすがは私の主様。」

「あ、あぁぁ あの方も規格外の仲間入りですか」





道を進むラーフを後ろからみてそれぞれが思った事であった。

そして3体は揃って確信を持って


「「「我らが王は今 歩き始めた」」」

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