森の先

「もうじき森を抜けそうだぞ」

「そんなことは見ればわかりますよ

これだから犬はダメなんです」

「なんだとぅううう!!」

「お前らはなんで毎回、喧嘩になるんだよ

戦いだと息が合うくせに」

ラーフは2体の掛け合いに呆れながら問いかける

その後ろに控えるようにいるブラドも呆れの眼をむけていた


「それは!こいつがいちいち口を挟むからじゃないか!!!」

「これは、仕方ないのです この駄犬の反応がうるさいので」

ラーフに揃って言い訳をする2体これにはラーフも苦笑いを浮かべるしかない

喧嘩するほど仲が良いとはまさにこの2体に相応しい言葉だと思ってしまうほど


そんなこんなでまだ騒いでいる2体を横目に森を抜けると

草原が広がっていた

見える範囲で花畑もあるほどの穏やかな光景

自然の中のこんな光景を見たことのないラーフはしばしその光景を楽しんでいたが、後ろで騒ぐ2体により現実に戻された

溜息を吐きながらどうするかと後ろを振り向くと

いつの間にかブラドによりお仕置きを受け、頭を抱えるように地面にうずくまる2体が居た


「さて、まだ騒ぐようでしたら更にきつい躾を行います。

もちろん魂に刻み込みますので、その様におぼえていてくださればと。」

笑顔で淡々と冷たい眼と声で宣言のように言うブラドであった

2体は顔を青く染め上げ、何度もうなずく

その目からは涙が流れているほど

後ろのラーフも顔が引きつっていた


「くだらない躾はここまでにして、主ここからどうしましょうか。

人の集落に行くのか、他の魔物のところで情報を集めるのか2通りですかな

どちらに致しましょうか」

「そうだな・・・・人の群れのもとにいこうか

そんな強いやつがいるとも思えんし、いるとしてもいい力試しができそうだ」

「ではそのように、私は先に向かい情報を集めてまいります。

あぁそこの2体は主と共に行き、その都度必要なことをしてくださいね。

もしまた、くだらないことで主を困らせるのでしたらその時は・・・わかっていますね?」

「「はい!!!」」


2体は姿勢を正しブラドに頭を下げる

まさに飼い主の様相を醸し出すブラド

流石は長く生きた者だ。いろいろと規格外


「それでは、お先に向かわせていただきます」

そういうなりブラドは影に潜り消えた





「さて、そこの二人行くぞ」


ラーフは気配を察知し多くの魔力が集まる方向に向かい走り出した

その後を追う2体



一瞬にしてその場は静かな光景が続く日常に戻った




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