決まらない戦い 顕現した兄弟 

どこからともなく大きな音が響いている

風を操る狼と刀を振るう鬼により何度目になるかわからない殺し合いが続いている


怪我をしながら彼方此方を壊し森の中に小さめの広場が出来上がっている

大小さまざまな斬り傷 血 土を体につけながら2日ほど戦っている

そして 両者とも体力が付き倒れた


「くそ狼のくせによくついてきやがる」

「はっ くそがてめぇの方が死にかけみたいだけどな」

「言ってろ 貴様もそう変わりないように見えるがなぁ」


少し離れた位置に倒れた二人だがその状態でおいても敵対心満々に言葉を交わす

いつしかこの2体はライバルのようにお互いを高めあっていた


しばらくし鬼が立ち上がり森の中に消えていく

そして見送るかのようにその方向を眺め姿が消えたくらいに狼もまた

反対の方向に消えていった







鬼は勝ちきれない己に憤慨しまた技術を高めるため

森の中で刀を構え素振りをここなっていたその際

鬼気の使い方について考えていた

(鬼気とは一体何なんだろうなぁ 種族特有のものなんだろうけど

なんかまだ先があるように思うんだよなぁ

体を強靭にするのはまぁ 使ってるしわかる

だがそんな単純なものであるはずがない

うーーーーーん)


悩む 悩む だが答えが見つからない

現状の戦力は2層にしては強いが技術がまだつたないといえる

同じような段階にある嵐狼に負けないまでも引き分けている

ダンジョンのなかの魔物ではなく外から来た

同じような存在あいつを下さなくては次には進めない

嵐狼の方でも同じ気持ちであるからこそ何度も戦いが続いているのである









そして答えが出ぬまま傷も癒え また対立する


「今日こそはてめぇを餓鬼の餌にしてやるよ

ええ くそ狼が!!」

「ほざいてろよ くそがてめぇのない頭で無理なことを言ってんのが

わかんないんだろうな はっ死んでろよ!!!」

「そろそろ 始めるか なあぁ! 狼さんよ!!」


「「さぁ 闘争だ 殺しあおう」」


言葉を言い終わるなり刀と牙が中心でぶつかる

しばらく押し当ていると

狼が鬼の背後より風の刃を発射する

鬼はそれを観ずに体を鬼気を纏いはじく軽く切り傷が付くが気にせず

押し合いをしている刀を柄を前に押し餓鬼を引き狼の首を狙うが

風の鎧を発動しあと数センチのところで斬り切れず前に進む

だがそこで鬼気を餓鬼に吸わせれば身に届くのではないかと考え

狼の周りを走りながら餓鬼に鬼気を吸わせていった


その間にも狼による風の遠距離攻撃が続く

風の刃をはじき切れ味のある竜巻を餓鬼により飲み干そうとするが

まだすべてをすぐには飲めず体に傷を増やした

(くっ まだか餓鬼がおいしそうに飲んでいるのはわかるが

流石に量が多すぎる! あいつの風も飲んでんのにまだか

もう鬼気が付きそうだぞ!!)


まだまだ餓鬼が満足してくれず今までお預けにされた分を今行っているような血肉を分けた愛刀は軽く脈打ち始めているその刀身が少しずつ黒く波紋が血のような赤に染まってきていた

待っていたかのようにどんどん色が滲んできている

もう少しもう少し 命ある刀は名前のように満足のできない飢えと渇きを満たすように鬼気を吸っているそして、鬼が知らぬ間に周りにあるダンジョンの魔力をも吸いその存在を完成させていっている


まだ終わらない まだ吸われる


餓鬼を振るい切り 足による蹴りを放ち

狼の攻撃を防ぎ普段より戦いにくい状況であり少しずつ追い詰めらてていた


「おいおいおいおい!!

そんなもんかよ くそやろうが

俺が簡単に殺しちまうぜ!!!」

「くそが ほざいてろ

そんな妄言を言えのも今のうちだぜ!!」


「「おおおらぁぁぁぁあああ!!!!」」


まだまだこんなもんではないとお互いに爪を牙を刃を鞘を使い

更に激しさと戦闘速度が上がっていくだが狼の方が上に行ってしまい

ますます体に傷が増えていく

風の力で体を鋭くし早くしている狼はここがチャンスだと気付いていた 

だがそれでも最後の一手がなかなか決まらない

流石は何度も渡り合ってきたやつだと認め今回が決着をつける日になると気合を入れている


そして風の鋭さを纏った爪が鬼の脇をえぐった


すると鬼はえぐられた場所に餓鬼を突き立てた

「まだまだ飲み足りねぇんだろう!!

これなら満足できるだろうよ!!!

どうなんだ!!  ああああ!!!」


(くそが痛みで意識が跳びそうだ

まだかこれでだめならもう死ぬしかねぇ

そんなのは!!ゆるせねぇ!!そんなんで死んでたまるかよ!!)



そして鬼の血肉を飲みそこで餓鬼による飢えが終わった

己に突き立てたことで餓鬼は満足した

我が兄弟の血肉は飢えを満たすに最上のものだった


命刀・餓鬼は刀身を漆黒のように染め

浮かぶ波紋は血のような赤をしていた

そして鞘も漆黒の中に鬼の想いを映したかのような炎をかたどった赤に染まっていた

ひとりでに動き鞘に収まる

刃と鞘の隙間から鬼気のような赤黒いオーラを放ち続けている


さぁ 本物の我が姿を感じろ恐れよ

そしてその血で渇きを満たしておくれ

我が名は命刀・餓鬼 

兄弟より命を吹き込まれ

飲み吸うことこそが我が渇きを満たす

どこまでも兄弟の飢えをかなえるために



 名前

上級種族 鬼夜叉

レベル 24/30

魔法 土

専用武器 命刀・餓鬼

スキル

学習 武術 鬼気6 刀術5 身体強化10


名前

上級種族 嵐狼

魔法 風

スキル

疾風 身体強化10 風装7 






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