八
限りなく真黒な深海……。
何処までも虚ろなる闇の中を僕はポツンと仄かな光を灯しながら潜って行く。イヨイヨ深く……深く……。
もうどれくらい泳いで来たろう。極彩色の珊瑚礁……果しなく
サテ僕は今どれくらいの処に居るのかしらん……と到底計り知れぬ深度に思いを
此方もジッと見返していると、奇妙なサメは口を徐にパクパクさして何か言っているらしかった。しかし僕には何も聞えない。益々奇妙であったが、虚ろな、しかし澄んだその眼を見ていると、僕は何だかタマラナイ気持になってきた。
すると
気が付くと、奇妙なサメはクルリと此方に尾鰭を向け、今に去り行かんとするところであった。そうして忽ち深海の闇にスーッと溶けて見えなくなった。
僕は暫くボーッと彼のサメの居た処を眺めていた。
そうしてやがて何を思うともなく、後を追うように……導かれるように……吸い寄せられるように……暗黒の世界をまた独り泳ぎ出す。
……僕はサカナ……。
何処までも深く潜って行く……。
……深く……深く…………………………。
アンダーカレント 傍野路石 @bluefishjazz
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