二
意識をハッキリと定めた時、そこは水の中であった。僕は泳いでいた。背、胸、腹、尻、尾の各鰭を巧みに駆使し、泳いでいた。僕はサカナであった。そうして、それは違えようのない事実であったが、自分がサカナであることが認識された時、同時に自己の存在認識が何だかドウにも曖昧模糊として、水を摑むような、奇妙な感覚に囚われていた。
僕は……サカナ……。
いくら頭を捻ったところで、それは不変の事実として迫ってくる。しかし何故か
……イヨイヨ迷宮じみてきたぞ……。
と頭をグルグルさせながら半ば流されるように当てもなく潜行していると、やがて突として目を見張るほどの大観が眼前を支配し、僕は茫然自失としてしまった。
そこはまさしく花園であった。色も形も同じものは一つとして無いとばかりに、多種多様の花々が
その景色は鮮華たる耀きと同時にどこか妖艶な気さえ醸していて、その気に魅せられ見入っているうちに、
何気なく目に留まった、外側に
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