第2話
埠頭に着いて暫くは、爆発音やら何やら、一般的にはアクション映画でしか聞かないような音ばかり。それも三十分もすれば随分落ち着いて、すっかり静かになりました。
車の中で待つのは、中々に退屈です。私も外に出たいのですが、『鉄火場は危険だ』と言って、仕事の時には決して同行させてくれません。
・・・恐らく、足手まといにはなりません。多分あの人も、そのことはよく分かっています。それでも同行させないのは――私に、余計な気苦労を掛けさせないためなのでしょうが。
「・・・待ってる方が気苦労が掛かると、分からないんでしょうか」
――心配性なだけなのは、分かっていますけれど。それをかき消すように、普段から持ち歩いているガラス瓶を傾けます。月の光に照らされて、ぼうと明るむそれ。まだ半分程残っているそれを喉に流し込んでも、僅かに体温が上がるだけ。
「本当に、これだけ」
全身を機械化した所謂サイボーグ、映画などでよく見ますが、実際なってみるとそう良い物でもありません。利点と言えば常人よりあらゆる部分で丈夫、といった位で、人間の模倣、という点においては、とてもとても良い物ではありません。
これでも私の身体は、人間にだいぶ近づけている方らしいのですが。これでも不満が多いのですから、私より古いタイプの方々は、さぞ苦労なさっているに違いありません。
そんなことを考えていると、あの人から連絡が入ります。
『・・・すまん、しくじった。・・・こんなことは頼みたくないが』
あら、珍しい。随分と素直。いつもは頑なに救援を拒むのに。
「それ以上は後で。すぐに向かいますわ」
――ほんの僅かに、震えた声。勿論分かります、随分派手にやったのだと。・・・最初から、私を連れて行ってくれれば。全く。このドジ。
「・・・どうせドジをするなら、もっと可愛げがある方がいいですわね」
『・・・・・・そこまで求めるなよ』
「・・・」
・・・ダメージは相当。冗談が通じない。声を聞きながら、すでに身体は走り出しています。大丈夫です。暗くたって、私にはあなたが見えますから。
シルバー&ガビー 猫町大五 @zack0913
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