第44話⁂満正誕生の裏には?⁂





それでも一国のお妃様が何故変装してまでサラン殺害をしたのか???

一国のお妃様に手を貸さない者が居りましょうか?


それは用心には用心に越したことは有りません。

人の口に戸は立てられぬとはよく言ったもので、どこから漏れるか分かったものではありません。


細心の注意を払って自分の手で天敵サランを殺したのです。

信じられるのは己だけです。


星日を何としても次期最高指導者に押し上げたい一心で行った行為。

決断を下さなければこの後、悲惨な結末が待っています。


最高指導者となったイジュンが、高日亡き後、いつ反逆罪で刃向かってくるかもしれない星日を生かして置いてくれる訳が有りません。

死ぬか生きるかです。


それでは本題に参りましょう。

残虐な結末を迎えた母サランの仇で星日の寵愛する久美子邸に何故?星日の出払っている時を見計らってイジュンがやって来るのかという事です。


そこには恐ろしい秘密が隠されているのです。



ある夜に抜け出して極寒の北朝鮮には氷の塊や氷柱は殊のほか何処にでもあります。

日本のように氷を注文しなくても至る所にあります。

もちろんサランの入浴時間も調べが付いています。


顔が分からないように掃除婦に変装して巨大な氷の塊を小型冷凍庫に入れて清掃用具カートに忍ばせ、サランが浴室に浸かった時間を確認してコッソリ風呂場に侵入して大きな氷の塊で後ろから、その氷の塊を勢い良く投げ付けたのです。


サランはその場で血を流して即死です。

こうしてサランは殺害されたのです。

証拠の一滴も残さず氷は跡形もなく溶けてなくなったのです。


ですが、実は氷には不純物が含まれています。空気中を漂う【「エアゾル」砂ぼこりや波しぶき、工場から排出される粒子】などです。

氷が解けて不純物が残るのでは???


それはご安心あれ!

実はアリン妃は日頃から氷を沢山従業員達に作らせています。

それは何故かって?それは停電の多い北朝鮮では食料の保存の為にどうしても氷が必要なのです。

それとアリン妃の美容法の為です。

停電の多い北朝鮮では氷は食物保存にも重要な役割を果たしているのです。


またアリン妃は美しさを維持するために、氷で顔をマッサージしたり氷風呂に入ったりして若さを維持しているのです。

【氷マサ-ジは毛穴が引き締められて新陳代謝が正常になり毛穴から分泌される皮脂を抑える事が出来て顔のテカリも抑えられる。更には顔のたるみも抑えられる。また毛穴が小さくなれば化粧ノリも良くなる】


氷風呂には下半身だけ沈めます。

引き締め効果です。


電気事情の悪い北朝鮮。

冬場は極寒の北朝鮮。


外でも氷を作っているのです。

日頃から「エアゾル」防止の為に氷容器に水を入れてガーゼや網で汚れが入らないように覆ってあります。


高日よりも6つも年上のアリンにして見ますと若さを維持する為に必死なのです。涙ぐましい努力をしているのです。


またサランもアリン妃の真似をして氷マッサ-ジをしたり、氷風呂に浸かったりしていますから不純物が見つかっても何の問題もないのです。


それでも誰が風呂場で殴り殺したのか?物的証拠が見つからないまま月日は流れます。


サラン亡き後イジュンはアリンと星日に想像以上の酷い嫌がらせと虐めに遭うのです。


それはアリンにして見ますと、もうひと押しで星日を最高指導者に押し上げる事が出来ます。

その為にはコテンパンにやっつけて本来ならば息の根を止めたいところですが、高日の眼が光っています。


それでもあれだけ酷い目に遭ったイジュンも良く生き伸びる事が出来ました。

それはもう不思議なくらいです。


それだけ壮絶な虐めが有ったという事です。


イジュンの魂は正常ではありません。


{いつか復讐を!}と目論んでいます。


星日が出払っている時に限って久美子邸を訪れるイジュン。

イジュンは星日の義弟です。訪ねて来れば嫌でも通します。


イジュンは、不審死した愛する母を殺害したのは、もうとっくに亡くなったアリン妃ではないかとを日頃から疑っていました。


そして壮絶な虐めを受けた傷は今尚、深く胸に刻まれています。

イヤその恨みは日を追うごとに増幅しています。

イジュンは復讐心の塊になっていますが、虐めを行った張本人達は存外それほどの事とは思っていない事が多いのです。


{能力不足の俺から、20歳近くも年の離れた義弟に最高指導者の座を奪われて堪る者か!自分を守るために少々手荒い真似をしたが、仕方ないじゃないか?順番があるだろう?秩序を守らないお前のせいだ!お前が悪い!}

そのくらいにしか思っていないのです。


一方の星日の母アリン妃にして見ますと、サランを殺害した負い目は心の片隅にありますが、イジュン虐めの手を緩めたら、いつ又形勢が逆転してイジュンに最高指導者の地位を奪れるやもしれません。


その為にもコテンパンに追い込み恐怖を与え恐怖心で支配して、又散々阿鼻雑言を言いまくり自信喪失させ、意思表示の出来ない暗い、何を考えているか分からない大人に育て上げたのです。


あれだけ優秀だったイジュンですが、このような状態では到底最高指導者としては務まりません。

結局は星日にお鉢が回って来たのです。


そんな経緯が有りイジュンは積もりに積もった積年の恨みを晴らしたいばかりです。


そのチャンスは存外早く訪れたのです。

久美子は日頃、星日から「弟イジュンを可愛がってやってくれ!」と言われています。


その為久美子邸にやってくれば精一杯のもてなしで出迎えるのです。

そんなある日久美子が席を立った拍子に久美子のお茶に睡眠薬を入れたのです。


そして眠り付いた久美子を襲い、生まれた息子満正は、実はイジュンと久美子の間に出来た子供ではないかという事なのです。


そんな重要な話を聞いたすみれと百合姉妹がうっかり「北朝鮮での事は一切話してはダメ!」と固く口留めされていたのも関わらず母親詩織に打ち明けたらしいのです。


もしこの事が事実なら星日は満正を絶対に次期最高指導者にしません。

それはそうです。

愛する久美子と一番の宿敵であるイジュンとの間に出来た子である等どうして許せましょう。

それこそ自分の足元が崩れ去ります。

即刻満正を暗殺したい所です。


そこでイジュンは息子満正を何としても守りたいが為に、星日の正妻ハユン妃に付いて久美子殺害の片棒を担いでいるのだと言うのです


それでも、2012年9月に星日が肝癌の悪化から肝硬変であっけなくこの世を去ったのです。


ですが、それは納得がいきません。

何故あんなに、大切にしてくれた久美子を殺害しなくてはならないのか???



いよいよ全て白日の下に???











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