第43話⁂久美子に近づくイジュン???⁂
アリン61歳の時に高日から思いもよらない言葉を発せられます。
「イジュンはまだ6歳だが非常に優秀で、英語、中国語、日本語を話せる。星日は23歳だと言うのにまだ英語もろくに話せない。こんなのでは国際社会で最高指導者としてやっていけない!この国の世継ぎはイジュンにする!」
「何という事をおっしゃるのですか?私は今まであなたの女癖の悪さも、この国の為と目をつぶって来ました。それもこれも星日を何としてもこの国の最高指導者にしたい。その一念で我慢をして来ました。そそ そ……それを イ イ イ 今更何て事をおっしゃるんですか?ワァ~~ワァワァ~~ン😭ワァワァ~~ン😭」
「ウルサ———イ!ガタガタ言うんだったらサッサとお前みたいな年増のおばあさん出ていけ———!」
「ア ア あんまりです!ワァワァ~~ン😭ワァワァ~~ン😭」
「フフフ~それだけお前みたいな女は必要ないという事だ!」
「ア ア あなたは、あの女に騙されています。確かに特別な才能の有る子供だけが入学出来る「学生少年城」(富裕層の子供達がワイロで入学しているケ-スが多い)を卒業したエリ-トだが、あの女は一般家庭出身で家族がお金に困窮していて、かなりのお金を横領して家族に送金していると言うもっぱらの噂よ!あなた目を覚ましてお願い!」
「お前だって親には送金はしていないが、自分自身に散々散財しているじゃないか!宝石や衣類の高額な事、その額は相当なものだ。自分の事を棚に上げてよくそんな事が言えたものだ。サランは質素で自分にはお金を掛けずに、そのお金を親に送金しているだけだ。俺もそれはサランから聞いている!」
「あの女は若いエリ-ト軍人に色目を使って浮気していると言うもっぱらの噂よ!29歳も年の離れているあなたなんか本当は嫌なのよ!この国の女王様というステ―タスとお金に目が眩んだだけ、若い男の人が良いに決まっている。とんだメギツネ!阿婆擦れ女!本当は若い男に夢中なのよ!あなたなんか只のお金の為の道具ぐらいにしか思っていないのよ?」
{高日も内心はこんな中年の俺なんかより若い男に夢中になるのは分からんでもないが?まさかあの清楚で優しいサランにそんな一面が有ろうとは?}動揺を隠せません。
「そんなバカな!絶対あり得ない!」
心配になった高日は「3日程留守にする」とサランに言って出掛け、その夜にお供の者も連れずに、こっそりサラン宅に帰ったのです。
そこでサランがいつも寛いでいる居間に向かったのです。
するとそこにはやはり若い男と寛いでるサランの姿が。
{アアアア————!なんてことだ・・・やっぱりそうだったのか?許せない!}
「その男は誰だ!こんな夜に男と2人きりでどういうつもりだ!
まさかお前は———!」
「朝鮮人民軍の兵士で私の弟です。勝手に家に通して御免なさいね!大学を卒業して今年から陸軍に配属になったばかりです」
「な~んだ!弟だったのか?安心!安心!」
浮気相手ではないかと疑っていた男が弟と分かって安心した高日と、がっかりしたアリン。
又何故ちゃんと弟だと紹介しなかったのか?
それは新人がむやみやたらに姉に会うのも如何なものか?特に北朝鮮では労働者には厳しいですから、怒られるに決まっています。
サランの側近は知っていたのですが、アリンにまでその情報が伝わっていなかったのです
それでもやはり赴任先も近く、時間が空けば顔だけでも見たいのが兄弟と言うもの。
仕事の合間に姉に合っていることがバレたら弟の出世にも響きますから。
その為高日にも内緒にしていたのです。
等々サラン追い出しに失敗したアリンは{このままではあの女に全て奪われてしまう、それが証拠にサランの息子イジュンをこの国の次期最高指導者にだと~?そんな事が許されるわけが無い!直系の長男星日が居るのに、たかが側室ごときの息子が次期最高指導者だなんて到底許されぬ事!ウウウウ~ッ!何とかせねば!}
高日が国の事業開発の為に1週間くらい遠くに出掛けています。
この機会を見計らっていたように、恐ろしい企みをするアリン。
夜に抜け出して極寒の北朝鮮には氷の塊や氷柱は殊のほか何処にでもあります。
日本のように氷を注文しなくても至る所にあります。
もちろんサランの入浴時間も調べが付いています。
顔が分からないように掃除婦に変装して巨大な氷の塊を小型冷凍庫に入れて清掃用具カートに忍ばせ、サランが浴室に浸かった時間を確認してコッソリ風呂場に侵入して大きな氷の塊で後ろから、その氷の塊を勢い良く投げ付けたのです。
サランはその場で血を流して即死です。
こうしてサランは殺害されたのです。
証拠の一滴も残さず氷は跡形もなく溶けてなくなったのです。
それでも一国のお妃様が何故変装してまでサラン殺しをしたのか???
一国のお妃様に手を貸さない者が居りましょうか?
それは用心には用心に越したことは有りません。
人の口に戸は立てられぬとはよく言ったもので、どこから漏れるか分かったものではありません。
細心の注意を払って自分の手で天敵サランを殺したのです。
信じられるのは己だけです。
星日を何としても次期最高指導者に押し上げたい一心で行った行為。
決断を下さなければこの後、悲惨な結末が待っています。
最高指導者となったイジュンが、高日亡き後、いつ反逆罪で刃向かってくるかもしれない星日を生かして置いてくれる訳が有りません。
死ぬか生きるかです。
それでは本題に参りましょう。
何故そんな残虐な結末を迎えた母サランの仇、星日の寵愛する久美子邸に星日の出払っている時を見計らってやって来るのかという事です。
そこには恐ろしい秘密が隠されているのです。
サラン亡き後イジュンはアリンと星日に想像以上の酷い嫌がらせと虐めに遭うのです。
それはアリンにして見ますともうひと押しで星日を最高指導者に押し上げる事が出来ます。
その為にはコテンパンにやっつけて本来ならば息の根を止めたいところですが、高日の眼が光っています。
それでもあれだけ酷い目に遭ったイジュンも良く生き伸びる事が出来ました。
それはもう不思議なくらいです。
それだけ壮絶な虐めが有ったという事です。
イジュンの魂は正常ではありません。
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