第42話⁂高日の正妻アリンと側室サラン!⁂

2016年冬の月冷えて冴えきった冬の大気の中で静かに美しく輝いて見える寒月の2月初旬


ミレ自動車社長チュェ氏は、あんなに2人の交際に難色を示していたのですが、最近はすっかり緩和ムードで、2人の交際にも陰ながら応援する程にまでなってきています。

それはあの女ロアと何が何でも手を切る、その決意の強さを感じ取る事が出来たからなのです。


ロアのマンションを出て新たな生活を始めたスホの誠意に感銘を受けたのと同時に、ジアンに対する愛の深さ、真剣さに{2人今後を温かく見守ろう!}

そうまで思うようになって来ているのです。


スホは現在33歳。

色々な難題にも臆する事無く果敢に取り組み乗り越えて来た結果、俳優として一皮も二皮もむけた厚みのある演技派俳優へと変貌して行ったのです。


ですが、今尚、家族同然で生活して来た育ての母親詩織と妹達すみれと百合の死は受け入れがたい悲しみです。


{何故あんな無残な最期を辿らなければならなかったんだ?あんなに優しい母であり女でもあった母。更には妹達も極々普通の明るくて朗らかなお転婆お娘、到底恨まれる要素は見つからない?…………だが母詩織にはふと疑問を感じる事が有った?

・・・偶に知らない男の人から電話があり「この電話の事はお父さんには内緒ね!」と強く口止めされていた。

ある日学校の帰りに、いつもと違う方角から家路を急いでいると、目付きの鋭い到底堅気とは思えない男の車に乗り込む母の姿を目撃した事が有った。…………それから家を偶に外泊する事もあった。

「旅行に行くから!」と言って出掛けるのだが………?お土産らしい物も偶にしか見た事がない?・・・ああああ~!でも一度レシートを見た事がある。それは東京駅の土産屋のあれはなんて書いてあったっけな~?

九州旅行に行くと言っておきながら・・・俺はあの時ふと思った?母は旅行になど行っていないのでは???}


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妹達すみれと百合は北朝鮮に拉致されて、どんな秘密を聞いてしまったのか???


それは、ある人の話では、1982年にスホの実母久美子が拉致されて北朝鮮で満正を出産した事に端を発したとんでもない話なのです。


星日は久美子を心から愛しており、確実に他の側室達とは一線を画した特別扱いです。

毎日久美子邸に通いますが、星日も忙しい身。

一週間位顔を出せない時もあります。


そういう時に限って星日の義弟でイジュンが久美子邸に顔を出していたのです。


実はこのイジュンと星日には深い因縁があるのです。

どういう事かと申しますと、星日の母で建国の父高日の正妻アリン妃が高飛車な側室?イジュンの母サランを深い確執の果てに殺害させたらしいのです。


正妻アリン妃は高日がまだ無名の学生時代の19歳の時に肺炎で入院した時の病院の研修医だったのです。その当時既にアリン妃は25歳で6歳も年上です。


この時期はまだ韓国と北朝鮮は分断されておらず、日本統治時代の事です。

余りの知的で優しい、更には高麗総合病院きっての美貌と持て囃されていたアリンに夢中にならない男が居ましょうか。


親の反対を押し切って大学を卒業するや否や結婚したのです。

そして姉ハウンは直ぐに誕生したのですが、間をおいて高日32歳の時に星日が誕生したのです。


【1948年8月15日南朝鮮は大韓民国として独立した。

一方の北朝鮮では1948年7月10日に朝鮮民主主義人民共和国憲法が制定された】


1948年9月9日初代首相に優秀な軍人だった高日が就任したのです。

1948に建国の父となった高日は精力的に仕事をこなして行きます。


それでもこの時アリンとの間には長女ハウン12歳と星日6歳の2人しか居ません。

いつ何時敵国に襲われ大切なこの国の王子を殺されるやもしれません。又いつ高日政権に反旗を翻す輩が襲って来るやも知れません。


その為には盤石な態勢が必要です。

世継ぎ候補の誕生それこそが、この高日体制をより強固にする足固めとなるのです。


幾多の側室が居ますが、未だ王子の誕生の声は聴けません。

そこに側室として白羽の矢が立ったのがサランなのです。


1959年この時20歳のサランはこの国のモランボン楽団の前身である、まだ楽団に毛の生えたような5~6人の演奏家の中のピアニスト。

その卓越したピアノ技術は北朝鮮のミューズと称されているのです

【ミューズはギリシャ神話の詩と音楽の女神】

おまけに絶世の美女。


現在アリンはこの時既に55歳サランとは35歳も年が離れています。


そこに王子イジュンの誕生。

高日にして見ますと親子ほど年の離れた才能豊かな、ましてや王子まで産んでくれたサランが愛おしく、又まだあどけなさの残る娘のようなサランに夢中です。


アリンにして見ますと{6つも年上の姐さん女房で、もう美しさの欠片も無くなったこんな私なんか、いつ高日にソッポ向かれるか?}冷や冷やものです。


いつかそんな日がやって来る事は覚悟していましたが、それでもまだまだそこらの雑魚には負けない自負がありました。


「私にはそこらの側室とは一線を画す知性と美貌がある、若さを取ったら何も残らない雑魚共が———!」


ですが、サランと対面した時は余りのショックで立って居られない程だったのです。

{アアアア————!嗚呼嗚呼———!ああああ~~~~!私がどんなに逆立ちをしても叶う相手ではない!おまけに王子まで誕生した。嗚呼———!このまま行けば私は生きた化石として高日にぞんざい扱われいつか捨てられるかもしれない?}


それから6年アリン61歳の時の事です。

サランは現在26歳、子供も誕生して女性として一番美しい魅力的な時代です。


ことのほか早くこんな辛い現実がやってこようとは?

「イジュンはまだ6歳だが非常に優秀で、英語、中国語、日本語を話せる。星日は23歳だと言うのにまだ英語もろくに話せない。こんなのでは国際社会で最高指導者としてやっていけない!この国の世継ぎはイジュンにする!」


「何という事をおっしゃるのですか?私は今まであなたの女癖の悪さも、この国の為と目をつぶって来ました。それもこれも星日を何としてもこの国の最高指導者にしたい。その一念で我慢をして来ました。そそそ……それを イイイ今更何て事をおっしゃるんですか?ワァ~~ワァワァ~~ン😭ワァワァ~~ン😭」


「ウルサ———イ!ガタガタ言うんだったらサッサとお前みたいな年増のおばあさん出ていけ———!」


「アア あんまりです!ワァワァ~~ン😭ワァワァ~~ン😭」


「フフフ~それだけお前みたいな女は必要ないという事だ!」


プライドの高いアリンをここまで追い込んでしまった高日。


この後とんでもない残酷な悲劇の幕開けが???











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