第11話⁂久美子の危機!⁂


ある日等々毒を盛られて身重の身の久美子に命の危機が???

ですが、あいにく下女が何人かいましたので大事には至らなかったのですが?お毒味役の下女は3日3晩生死の境をさまよったのです。


久美子もおおよそ犯人の目星はついていますが、ハッキリとした証拠が有る訳ではありません。

とんだ事を口走って又どんな酷い目に合うやもしれません。

今すぐにでも飛んで行って星日様に全てをぶちまけたい思いで一杯です。


皇太子妃にして見ましても必死なのです。


ハユン妃は3人のお子を出産しましたが、どのお子も王女様ばかりで焦っています。

もうこの年齢、お子を授かる可能性も極めて少なく、ましてや男の子ともなりますとさらに確率が減ります。


若くて魅力的な朝鮮王朝の血を引く経済大国日本からやって来た久美子が目障りで仕方がないのです。

まさに目の上のたん瘤。

そこに星日が他の側室達とは一線を画し、久美子を特別扱い。


{ああああ~!あの久美子が憎い!私はこの地位を何としても守り通さねばならぬ。守り通して見せる。その為だったらなんだってする!あの女を死に追いやっても!イヤ内密に殺害したい!}



プライドの高いハユン妃は。自分の地位を何としても守り通したい!

お妃様として君臨し続けたいのです。


全国民を配下に置き、全て言いなりにさせて崇拝させる。刃向かう者は即刻処罰する。

それがまかり通る王宮から失脚させられる事などとてもじゃないが考えられないのです。万が一、自分が平民の地位に戻る事など死んでも嫌な事。


今迄高官達にだって威張り散らし、散々ぞんざいに扱って来たのに今度は逆に指示される側になる等以ての外。


この身の保身の為ならどんな事もいとわないのです。



【妃リ・ハユンは、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の人物。同国の最高指導者である金日高の世継ぎ星日の夫人である。(日高も高齢の為星日が実質上の最高指導者)かつては学校教員をしていた。

来歴

1943年に父親が建築会社社長、母親が医師である一般家庭に生まれる。 又あの当時で北京に留学経験もあるかなりの才女にして非常に美しい容姿の持ち主。】



一般家庭出身ですが、経歴も相当なものでかなりのプライドの持ち主なのです。

もう41歳のハユンは容姿にも陰りが出始めて、美しさもとっくの昔に失われているにも拘らず、未だに美しいと持て囃されていた昔を忘れる事が出来ず、現実を直視出来ないでいるのです。


「この朝鮮きっての美貌と持て囃された私から星日を奪い取ろうとは100年早いわ!この余所者の不義の子まで身籠っていた阿婆擦れ女め!」


朝鮮王朝時代には、世継ぎを産めなくて王宮を追い出された王妃もいたのです。

その為に益々危機感を感じていじめに拍車がかかります。


ある日久美子邸に同じ拉致被害者の日本人の木村という男が身の回りの警護役としてやって来たのです。


それは星日が久美子が毒殺され掛かったと聞いて護衛として送り込んだ男なのです。

犯人追求も徹底的に行ったのですが、等々分からずじまい。



ですが、こんな身寄りのない異国にやって来た久美子を不憫に思い日本人の誰かを護衛にと星日たっての希望で招集されたのです。

侍従に「日本人の誰かいないか?」と指示を出したのです。


そして木村に白羽の矢が当たったのです。

木村は名古屋大学機械航空工学科を卒業したエリ-トです。

北朝鮮防衛の技術者として拉致されたのです。


実はこの木村を推したのはハユンなのです。

お妃様の指示なので断る訳にもいかず木村が招集されたのです。


何故ハユンが木村を推したのかと申しますと?実はハユンは今41歳の女盛り、ですが、星日は久美子にうつつを抜かして、もう盛りをとっくに過ぎた美しい人が辿る彫りの深い魔女おばあさんのような風貌になってしまったハユンを見向きもしなくなって来ているのです。

その捌け口としてブランドの日本人でイケメンエリ-トの木村との情事に身を投じているのです。


木村もお妃様の言う事に逆らう事など御法度。

出世の為と諦めて仕方なく関係を続けているのです。

そしてそれに飽き足らず今度は側室の久美子との関係を強要されたのです。


「誘惑して久美子と肉体関係を持ちなさい!」と指示を出したのです。


「そんな事をしたら私が粛清されます」


「じゃ~?私に逆らったらどうなると思うの?あなたの1人や2人殺す事など容易い事。星日に私との関係ぶちまけるわ!プライドの高い星日の事。自分の妻を日本からやって来たばかりの新参者に寝取られたと分ったら即刻死刑よ!あなたの事は私が何かあったら絶対に守るから!里でかくまって貰うから私の言う事を聞きなさい!」


久美子は護衛としての木村にいつしか打ち解け合い、何でも話すようになって行ったのです。

木村も故郷に思いを馳せ、時折見せる寂しそうな、又どこか儚げな、この美しい久美子に同じ境遇を重ね合わせて運命共同体のようなそんないつしか恋心が芽生え始めていたのです。


そして星日の目を盗んで愛し合うようになって行ったのです。

当然送り込まれたスパイがいる事など知る由もありません。


2人が誰もいない時間帯を見計らってベッドで絡み合っていると天井裏から隠しカメラで行為をフィルムに収めている者が???


「あなたこの写真を見て!全裸で絡み合っている久美子の写真よ!あんな女殺しなさいよ!生かしておいてもろくな事にならないわ!」


星日の顔が見る見る般若顔の恐ろしい顔になって行きます。


「あの久美子め――――!許せぬ!」



【朝鮮王朝時代。高貴なお方が死罪を命じられた時は毒薬を仰いで絶命するのが名誉ある死に方だった。

毒薬は国王が賜る形を取るので、その死罪のことは「賜薬(サヤク)」と呼ばれた。毒薬の中身は砒素とトリカブトだった。


韓国時代劇を見ていると、毒薬を呑んだ高貴なお方がアッという間に息絶えるが、実際にそんな即効性はなかった。


飲んだ人は5時間くらい苦しんでから死ぬのが当たり前で、中には一晩中も悶々と苦しんだ人もいたという。確かに、名誉ある死に方なのだが、肉体的にも精神的にもむごい方法だったのである。


朝鮮王朝ではなぜ高貴なお方は毒を仰いで死んだのか。

毒を仰いで死んだのは、身体を傷つけないためであった。


朝鮮王朝では儒教を国教にしていて、その思想が国土の隅々まで浸透していた。儒教の最高の徳目は「孝」である。親孝行こそが一番大切であると信じられた社会では、親にもらった身体を傷つけるのは、親不孝の最たることであった。


そういう事情があって、たとえ死罪になっても身分が高い人たちは身体を傷つけずに死んでいったのである】














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