第30話 愛央の告白
俺にとって1番緊張するのが3月始め。愛央も毎年緊張する。チア部の愛央がチアユニを着て応援すると思わせておいての告白しそうな時期がやってきたのだ。しかも高校生になって初のこと。愛央は初めて自分でツインテールを作ろうとした。まず女子って特殊なヘアアレンジじゃなければ普通に自分で作るはずだが、うちの愛央はどうもツインテールの時に限って俺に作ってもらわないと気が済まなくておいねぇらしい。
3月2日、俺らはこの日臨時で休みとなった。入試関連の休み。愛央は朝早くに起きてチアの練習をしていた。
あお「フレ!フレ!たっくん!負けるながんばっ!Fooooooo〜♡」
たく「んあ・・・」
あお「たーっくん♡」
たく「あぁ、おはよう」
あお「ぎゅーっ♡たっくんしか勝たん♡」
たく「それお前推ししか勝たんやないかい」
あお「愛央の推しはたっくんだもん♪あいちゃんもね♡」
たく「はぁ?」
愛央の推しって聞いたことないがそういうことだったのか。たっくん、すなわち推しの俺が好きってことか。納得。だがこの後、うちの妹たちから本当の告白がやって来るのだ。それをこの時俺はまだ知らない。
10時頃になって店長から電話が来た。
店長「おはよう。たくみくん」
たく「おはようございます。どうかされました?」
店長「今日昼から5時間バイト入ったあと2時間でいい!残ってくれる?」
たく「俺は別にいいですけどなんでわざわざ店長から直で?」
店長「愛央ちゃんとあいちゃん。あのふたりをこの前泣かせたのは僕らだから。だからね、社長である君のお父さんが今度臨店、すなわち来るってこと。だから何とかいい報告をしたいんだ。2時間だけ残って。残業代はしっかり出すから」
3月20日土曜日に臨店?俺の父ちゃんが行くって?
まぁでもいいや。とりあえず2時間残ることを愛央に伝えて準備をしよう。
たく「愛央〜」
あお「なぁに?」
たく「俺今日2時間だけ残ってバイトしてるからね」
あお「うん・・・早く帰ってきてね」
たく「分かった。なるべく急ぐ」
あお「がんばれっ♪たっくん!」
バイト前だってのに笑顔で応援してくれる愛央はいつもと違った。いつもだったらジャンプしたりポンポンを振るのに、今日はただ頑張ってとだけ。絶対これ何かあるだろと思ったがそれは後で。
12時からの7時間勤務を終え、19時15分に家に着くと、デート服に身を包んだ妹の愛央が待っていた。
あお「おかえりっ」
たく「ただいま」
あお「あのね、ダイニング来て」
たく「うん」
帰ってきていきなりダイニング?あにしたんだろ。
あお「たっくん。愛央からの告白、聞いてくれる?」
たく「ほんとに今日あじした?」
あお「たっくんのこと、ずっと好きなの。結婚とかは出来ないけど、付き合って!」
たく「・・・いいよ。双子の妹として今まで見てきたけど、これからもずっと一緒だよ」
あお「たっくん・・・(´;ω;`)ウッ…だいすきっ!」
愛央は泣いてしまった。ようやく言いたいことが言えたのだろう。ぎゅーってずっと抱きついている。
まずそもそも女子が男子に抱きつくって聞いたことない俺はこれが初めてだった。
明日は日曜日だし、またデート行こうね。
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