第29話 愛央とあいちゃん、ふたりっきり!?
あいちゃんと愛央は同じ女の子ということでたまにだけどふたりで出かけることもある。がその時が来るのはごくまれで、愛央は普段から俺も誘って外へ行く。
終日バイトが入った2月2日、日曜日。
あいちゃんと愛央に半日以上会えないことが確定した中俺は朝からバイトへ行く。まだ愛央もあいちゃんも寝ている。そのためそーっとドアを閉めようとした。が、そのタイミングであいちゃんの泣き声が聞こえてしまった。まだ7時30分、出勤は8時45分。今から泣きやませれば間に合う。俺は急いで部屋に戻りあいちゃんをあやした。
あい「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」
たく「どした?ミルク?」
あい「きゅぴ・・・うん」
ミルクは作り置きしてあるのでそれを飲ませると安心したかのようにまたあいちゃんは寝てしまった。それを見てホッとした俺はバイトへ行き、色々な準備を済ませて下に降りた。俺はレジ打ちのバイトのため午前の3時間頑張ってから1時間の休憩に入る。そこまでまずは頑張ることにした。
一方ふたりっきりの愛央とあいちゃんは愛央が9時頃に起きてあいちゃんを起こしたあと遊んでいた。愛央のタブレットはあいちゃんの好きなゲームが入っている。それで遊んでいると愛央が気づいたのだ。
あお「あいちゃん、たっくんは?」
あい「にーにー?あれ?いなーい」
あお「バイト行ったのかな。行こうよ!あいちゃん!飲み物渡してあげないとね!」
あい「あいたんいく!」
とのことでまさか来るとは思わなかった俺にドツキリを仕掛けることにしたようだ。開店からわずか30分。愛央たちが来ると思ってない俺は驚いたのだ。
たく「らっしゃいませ~」
あお「たーっくん♪」
たく「ん?え?愛央!?」
あい「ぎゅ~♡にーにー♡」
たく「はいぎゅーね。あちょっとごめんよ。いらっしゃいませありがとうございますお預かりいたします。このままでよろしいですか?はいありがとうございます。2728円でございます。ポイントカードはお持ちでしたか?あります?はいありがとうございます。あしまっちゃって結構ですよ。5000円お預かりします。さきに2000円お返しします。お後の残りが272円とレシートですありがとうございます。はいおまたせ。それであじしたの」
あお「たっくん飲み物持ってる?」
たく「あっ」
あお「だと思って、持ってきたよ!」
たく「ガチ?ありがと!」
店長「お、愛央ちゃん!」
あお「店長さん!こんにちは!」
店長「こんにちは。この子は?」
たく「俺と愛央の妹、あいちゃんです」
あい「きゅぴ〜♡」
店長「幼いのに飛んでるの?」
たく「不思議な赤ちゃんなもので、飛ぶんですよ」
店長「君たちを幼いときから僕は見てるからすごい赤ちゃんを育ててるなぁって思ったよ!」
たく「確か店長って僕らのご近所さんですよね?」
店長「そうだよ。まさか君たちのところにこんな赤ちゃんが産まれてたなんてね」
そんな会話をして愛央は水を渡すと家に帰ったのだ。そして俺の手元には水と一緒に愛央からのメモ書き。既に疲れそうになっていた俺はこれを見たのだ。
メモ「たっくんへ。バイトがんばっ!愛央」
たく「まさかわざわざ書いたのか」
昼になって1時間の休憩。少し寝て午後もバイトをすることにしていた。午後は4時間の勤務。これが終われば帰れるのだ。が、夕方の人が来れなくなり、俺は3時間残業をしてしまう。甘えん坊の愛央とあいちゃんは18時頃になっても帰ってこない俺が不安になったのだろう。数分して店長が俺の所に来た。
店長「たくみくーん」
たく「はい」
店長「さっき愛央ちゃんから電話が来てね、たっくんがまだ帰ってこないって言って。残ってることを伝えたら、泣き出しちゃった。ふたりのところにいてあげて。無理に残ってって指示したこっちが悪いから。あとはカウンターの人に入ってもらうからいいよ。ごめんね、残ってもらって」
たく「え?でもカウンターの方も仕事があるんじゃ・・・」
店長「うちの店のグループは君のお父さんの子会社グループのホームセンターなんだ。君が真面目にやっているとお父さんから聞いて、うちで採用したんだ。君は真面目に働いてくれているし、この分は出すから帰って愛央ちゃん達の面倒見てあげて」
たく「ありがとうございます」
なんと異例。店長自ら帰っていいよって指示が出るのはなかなかない。そして俺はこのとき初めて父親の系列会社のホムセンで働いていたということを知った。父さんどこまですげぇんだよ。
18時30分に退社し、俺は急いで走った。本社兼自宅に着いて5階に行くとあいちゃんの泣き声が聞こえた。
たく「ただいま」
あお「たっくん!」
たく「まじごめん。いきなり残ってくれって言われてよ。店長から話聞いて急いで帰ってきた」
あい「うわぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」
あお「ぎゅーってしたかったの。久しぶりに1日中家にいなかったから。ぎゅーしていい?」
たく「いいよ」
あお「ぎゅー」
あい「ぎゅー」
あお「だいすきっ♡」
ごめんな。2人とも。付き添ってあげられなくて。
でも2人のおかげでまた明日からがんばれるかも。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます